記事

松下幸之助さんの「働き方改革」を超えるために

2/2

「働き方改革」が上手く推進すれば、生産性が高まって労働時間が短縮される。これによって、世の中の人たちは「勤務先で働く以外の時間」をより多く享受できるようになるはずだ。気になるのは、こうして新たに生まれる時間が一体どのように使われるのかということだ。

きっと色々な時間の使い方がされるのだと思う。家族と過ごす時間を増やす人もいるだろうし、兼業・副業をする人もいるかもしれない。はたまた、自己研鑽に勤しむ人や、レジャーや余暇のために当てる人もいるだろう。どの考え方も否定されるべきではないものの、僕にはここでも先の松下幸之助さんの言葉が思い出される。忘れてはいけないのは、「教養」のための時間を増やせるかということだろう。

無論、いまの時代を生きる人にとっての「教養」が何かは、しっかりと考える必要がある。以前は勉学や読書のみが教養だと考えられていた向きがあったが、現代においては「視野を広げること」全般が教養だと考えていいと思う。そして、NPOのセクターにいる自分の立場からは、働き方改革で新たに生まれる時間を「社会との接点を増やすこと」に使うことで視野を広げてほしいと強く思う。

世界で最も早いスピードで少子高齢化が進む日本社会において、何よりも大切なのは「最先端の社会課題に対してソリューションを提示していく」ことではないだろうか。だが、残念ながら多くのビジネスパーソンが、目の前の仕事に必死になり過ぎていて、世の中にどのような社会課題があるのかに対して目を向けたり共感したりする余裕を持てていないのが現状だ。社会課題を機会と捉えれば、このことは大きな機会損失だと考えられる。

どんな形でもよいので、ぜひ働き方改革で生まれる新たな時間を、社会との接点を増やすことに使ってほしい。

ボランティアやプロボノとしてNPOの活動に携わったり、保育園や学校でのPTA活動に積極的に取り組むのもいいかもしれない。あるいは、地域のスポーツチームやお祭りの運営に参加して、地域コミュニティとの絆を深めるのもいい。また、家庭で育児や介護に従事するのも、とても直接的な社会との接点だ。

ぜひ普段の仕事とは違う役割を持つことで、社会の中での自分の役割を考えるきっかけにしてほしい。そうすることで、社会課題を一人称で考えることのできる人の数が増えていき、社会課題を解決するソリューションが日本社会から数多く創出されることにつながっていくはずだ。

働き方改革による生産性の向上を社会課題の解決に繋げていくことこそ、松下幸之助さんが唱えた「一日休養・一日教養」の現代版だと僕は考える。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。

※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
    ☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
    ☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位

あわせて読みたい

「働き方改革」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。