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「産めよ増やせよ」は長続きしない

イランが独身女性の一部国営企業での就労を制限しているそうだ。近年、出生率が急激に低下したため、「はやく結婚して道徳的・宗教的義務を果たせ」ということらしい。社会の成熟度は、女性の労働環境を見ればすぐにわかる。

封建的社会から女性の社会進出が一定程度進むと、出生率や既婚率が低下する傾向がある。男女の役割分担がボーダレスになり、結婚や出産の機会費用が高まるためだ。

改革の方向性としては、共働きや就業支援などによってそれらのコストを下げるしかない。つまり、ボーダーレス化をさらに強力に進めるわけだ。雇用について言えば、やはり流動化を進め、封建的家族モデルを薄めることになる。キャリアに1,2年穴が空いても後からいくらでもリカバーできる制度に変えていくこと、休職後も復職しやすくすること、そして、男性も育休を取れるような仕組みにすることだ。北欧諸国は上記のような施策によって出生率の反転に成功している。

そういう選択肢ではなく「女性は家庭に入るべき」と言って、負担と共に古い価値観を押し付ける社会は、残念ながら成熟しているとは言いがたいだろう。

もっとも、わが日本国も全然イランのことは笑えない。日本の女性の賃金は男性より33.4%も低く、イランの19.5%に完敗している。もちろん今どき先進国で30%超えてる国なんて他にない(Global Gender Pay Gap 2006)。ガラスの天井か目に見える天井かの違いだけで、考えようによってはちゃんと明言しているイランの方が民主的な気もする。

ついでに言っておくと、労働市場が硬直している日本の場合、大卒女性が出産と同時期に退職してパートタイムとして復職すると、キャリアにとどまった場合と比較して2億円以上の経済的損失となる。
“子供手当”だけでカバーするつもりなら、最低2億円は出さないと効果が無いだろう。というわけで民主の子供手当ては、(少子化対策としては)やるなとは言わないが本丸には程遠い。本丸は日本のイスラム化…ではなく、労働市場改革だ。

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