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- 2017年09月11日 07:40
2.5次元舞台とコスプレ? - 劇作家・朝倉薫の視点
今年の夏、東京は晴れの日がたったの8日間だった。
稽古場と劇場で過ごした僕にはあまり関係なかったが、海やプールなど夏が稼ぎどきの仕事には痛手だったであろう。9月になっても天気はぐずついたままだ。冷え冷えとした日が続いている。
さてさて、零細劇団を引っ張って30年、演目を決め劇場を押さえたら稽古場探し、足りないキャストの補充、音響さん照明さんとのギャラ交渉、チラシにチケット作成、慌ただしい日々が続く。
舞台公演は年に4回のペースで1週間から10日間の公演を続けているが、時には外部から演目の依頼があったり、出演依頼があったりして休む暇はない。文字通り貧乏暇なしの状況が延々と続いている。が、これは愚痴ではない。半分は自慢である。どんなに貧乏だろうと好きな仕事をして暮らしていけることで、きっとストレスは半減しているはずだ。
人間ストレスが一番身体に良くないらしいから、その点では幸せだ。
ストレス解消といえば、僕はこの夏、機会があってコスプレに挑戦した。
fateという人気ゲームのキャラクターヴラド3世のコスチュームプレイ、略してコスプレである。
発表の場は何と50万人が集結するという夏のコミックマーケット、略してナツコミ!
この歳(69歳)で、夏の真っ只中に厚手の衣装にブーツを履いて武器を振り回す酔狂な男は他にいなかった(当然だろう)。大いに受けて悦に入っていると、知り合いの社長から「バカやってるんじゃない!」と、無理解な叱咤が飛んで来た。まったく、時代遅れには困ったものだ。
時代といえば、このところ小劇場に2.5次元旋風が吹いている。
二次元のアニメやゲーム、マンガを三次元のアイドルやイケメン俳優たちが限りなく二次元に近づいて演技する舞台だ。「セーラームーン」「テニスの王子様」などがブームのハシリだろう。そもそも舞台は講談や読み物を生身の役者が演じて喝采を浴びたのだから、2.5次元とわざわざ言わなくても荒唐無稽な出し物は皆2.5次元なのだ。
流行り物に乗り遅れまいとしたわけではないが、たまたま僕にも2.5次元舞台の依頼が来た。尻込みしても始まらないので受けた。
翌朝、原作マンガとTVアニメのDVDを見て青ざめた。僕に「あいまいみー」の脚本は書けない。だが引き受けてしまった。僕は、新進気鋭と呼ばれているアリスインプロジェクトの麻草郁くんに相談した。
「面白い!シノプシス(あらすじ)書きまーす!」
即答だった。
そこまでは調子のいい奴だと半信半疑だったが、2日後に送られて来たシノプシスを読んでのけぞった。これが2.5次元舞台か!
タイトルは「あいまいみーTHEみゅーじかる」。
出演者は全員アニメ声優!舞台未経験者が歌って踊って芝居をするミュージカルだ!
僕がひと夏を稽古場と劇場で過ごすことになった始まりである。
そして、舞台は大成功に終わり、何と、来月追加公演を5日間もやることになった。2.5次元舞台に不可能はないのだ。
ただ、ひとつ悩んでいるのは、コスプレがとても評判が良いのだ。
次回のリクエストも届いている。2.5次元舞台とコスプレ、考えてもいなかった未知の領域に踏み込もうとしている。お楽しみはこれからだ。
稽古場と劇場で過ごした僕にはあまり関係なかったが、海やプールなど夏が稼ぎどきの仕事には痛手だったであろう。9月になっても天気はぐずついたままだ。冷え冷えとした日が続いている。
さてさて、零細劇団を引っ張って30年、演目を決め劇場を押さえたら稽古場探し、足りないキャストの補充、音響さん照明さんとのギャラ交渉、チラシにチケット作成、慌ただしい日々が続く。
舞台公演は年に4回のペースで1週間から10日間の公演を続けているが、時には外部から演目の依頼があったり、出演依頼があったりして休む暇はない。文字通り貧乏暇なしの状況が延々と続いている。が、これは愚痴ではない。半分は自慢である。どんなに貧乏だろうと好きな仕事をして暮らしていけることで、きっとストレスは半減しているはずだ。
人間ストレスが一番身体に良くないらしいから、その点では幸せだ。
ストレス解消になったコスプレへの挑戦!

朝倉薫
fateという人気ゲームのキャラクターヴラド3世のコスチュームプレイ、略してコスプレである。
発表の場は何と50万人が集結するという夏のコミックマーケット、略してナツコミ!
この歳(69歳)で、夏の真っ只中に厚手の衣装にブーツを履いて武器を振り回す酔狂な男は他にいなかった(当然だろう)。大いに受けて悦に入っていると、知り合いの社長から「バカやってるんじゃない!」と、無理解な叱咤が飛んで来た。まったく、時代遅れには困ったものだ。
時代といえば、このところ小劇場に2.5次元旋風が吹いている。
二次元のアニメやゲーム、マンガを三次元のアイドルやイケメン俳優たちが限りなく二次元に近づいて演技する舞台だ。「セーラームーン」「テニスの王子様」などがブームのハシリだろう。そもそも舞台は講談や読み物を生身の役者が演じて喝采を浴びたのだから、2.5次元とわざわざ言わなくても荒唐無稽な出し物は皆2.5次元なのだ。
流行り物に乗り遅れまいとしたわけではないが、たまたま僕にも2.5次元舞台の依頼が来た。尻込みしても始まらないので受けた。
舞台未経験者のアニメ声優が歌って踊って…
原作が4コマ漫画で、TVの深夜アニメが続いている「あいまいみー」という作品だった。原作者とTVアニメのプロデューサーの酒席に呼ばれて盛り上がってしまったのだ。翌朝、原作マンガとTVアニメのDVDを見て青ざめた。僕に「あいまいみー」の脚本は書けない。だが引き受けてしまった。僕は、新進気鋭と呼ばれているアリスインプロジェクトの麻草郁くんに相談した。
「面白い!シノプシス(あらすじ)書きまーす!」
即答だった。
そこまでは調子のいい奴だと半信半疑だったが、2日後に送られて来たシノプシスを読んでのけぞった。これが2.5次元舞台か!
タイトルは「あいまいみーTHEみゅーじかる」。
出演者は全員アニメ声優!舞台未経験者が歌って踊って芝居をするミュージカルだ!
僕がひと夏を稽古場と劇場で過ごすことになった始まりである。
そして、舞台は大成功に終わり、何と、来月追加公演を5日間もやることになった。2.5次元舞台に不可能はないのだ。
ただ、ひとつ悩んでいるのは、コスプレがとても評判が良いのだ。
次回のリクエストも届いている。2.5次元舞台とコスプレ、考えてもいなかった未知の領域に踏み込もうとしている。お楽しみはこれからだ。
朝倉薫(あさくら・かおる)
1948年8月2日、熊本生まれ。
92年に音楽プロデューサー、雑誌編集から転身を図り劇団を立ち上げる。その後は作家、脚本、演出家として「沈まない船」「桃のプリンセス」「ガラス工場にセレナーデ」などの舞台を手がける。舞台はパイオニアLDC、ポニーキャニオンなどからビデオ化された。元祖アイドル声優だった桜井智は劇団員から育てた。現在も劇団「朝倉薫演劇団」の主宰する。これまでに優木まおみ、吉木りさなど数多くの女優、タレントの演技指導にも当たってきた。
- 文化通信特報版
- エンターテインメント業界を内側からウォッチ
株式会社文化通信社は1952年に映画の業界専門紙としてスタート。その後、放送業界、音楽業界へと取材範囲を拡大していった。現在では映画、放送、音楽を中心としたエンターテインメント業界を内側からウォッチし続けている。その情報は「日刊文化通信速報」「月刊文化通信ジャーナル」として購読されている。
特に、「月刊文化通信ジャーナル」は、映画を中心にした綜合エンターテインメント専門誌として55年の歴史を刻んでいる。特に映画系では唯一の業界専門誌として認知されている。
また、関連会社には株式会社文化通信エンターテインメントがある。文化通信社が培ったノウハウを生かしての新規事業や版権事業などを行なっている。文化通信社創立55周年の際はシンガーソングライター松山千春の自伝「足寄より」を「旅立ち〜足寄より」として映画化、さらに60周年では舞台化してきた。
特に、「月刊文化通信ジャーナル」は、映画を中心にした綜合エンターテインメント専門誌として55年の歴史を刻んでいる。特に映画系では唯一の業界専門誌として認知されている。
また、関連会社には株式会社文化通信エンターテインメントがある。文化通信社が培ったノウハウを生かしての新規事業や版権事業などを行なっている。文化通信社創立55周年の際はシンガーソングライター松山千春の自伝「足寄より」を「旅立ち〜足寄より」として映画化、さらに60周年では舞台化してきた。



