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東洋経済の年金特集の疑問点

改めて読み返してみても、やっぱり何というか全体的に違和感のある東洋経済今週号。
周囲でもいろいろ話題になっていて、疑問点は大体共通している。
若干細かな話ではあるが、以下にまとめておきたい。
(72pからの特集、番号とサブタイトルは特集のもの)

1.「経済前提が甘い」

現行の制度は破綻するとした民主党の試算について、前提条件が厳しすぎるという批判は一理ある。
(まあバラ色数値で試算をでっち上げてきた厚労省も人のことは言えない)

が、だからといって現行制度が万全かといえば、それはまったく別問題。
既存の世代間格差に加え、保険料や国庫負担の段階的引き上げにはなぜか言及していない。
「(保険料と国庫負担のダブル引き上げで)年金は万全ですよ!」
と言われても…。

2.「世代間不公平論」

世代会計は社会資本の受益や負担も考慮している。よって、「前の世代が整備した都市やインフラで生活できるのだから我慢しろ」というロジックはおかしい。

3.「公的年金の債務超過論」
本特集中、最大の謎。一橋・高山教授を含め、各論者が問題としているのは、給付確定分720兆に対して積立金は170兆程度、実質550兆ほど“債務超過”状態で
あるという事実だ。
そしてそれらはすべて、保険料引き上げと国庫負担の引き上げによって、現役世代にのしかかってくることになる。先日の朝生で小黒氏が“暗黙の債務”と言っていたものだ。
国の長期債務と合わせて、果たしてこれだけの規模の負担を背負えるものだろうか?
で、それに対する反論なのだが…
「賦課方式というのは、そういうものなんです」

4.「積立方式移行論」
積立方式に移行するなら、既に需給にまわっている世代+過渡期の現役世代は、過去の積立分が不足することになる。これをどうするのか?というテーマだが、鈴木教授の案に対しても、「世代間格差は残るからそんなものはいらない、諦めろ」と一蹴するだけ。
そもそも、鈴木案は世代間格差の抜本的な是正を狙ったものではない。
むしろ、これからさらに世代間格差が拡大し、我々自身が加害者側に回ることを
ロックする狙いの方が大きいものだ。
そのために、積立方式に移行し、暗黙の債務は将来にわたって広く薄く負担するという試算である。
厚労省や本特集には、そういう長期の視点が完全に欠落していると言わざるをえない。

6.「基礎年金の税方式化」
いつも言っているように、「未納者が増えても自己責任」という発想だと、公的年金の意味がない。保険料方式にこだわるあまり、この点を見失ってしまっている。
もちろん、保険料の企業負担という幻想もしっかりと堅持。
「税方式化とは、企業セクターから家計への大幅なコストシフト」という一文に
いたっては、4p前にインタビューの載っている堀さん(上智大教授:厚労省OB)が書いているんじゃないの?と言いたくもなる。


通して感じるのは、いかにして現行の年金制度を守るかという姿勢のみだ。
そもそも、多くの論者が論じているのは「持続可能な社会を作るにはどうすべきか」というテーマだ。
「現行の年金制度が維持できるかどうか」なんてみみっちいことを話題にしたがるのは厚労省と、それで飯を食っている賦課方式バカくらいのものだ。
東洋経済がわざわざそんな次元にまで下りていく必要はないだろう。

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