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なぜ「惚れたい」でなく「モテたい」なのか

 いつの時代にも恋愛相談は尽きませんが、最近よくみかけるのは「モテるにはどうすれば良いのか」「モテない自分をどうすれば良いのか」というタイプ。逆に、「どうせモテないなら、どうすれば平穏に過ごせるのか」なんていう恋愛相談すら、最近では見かけるようになりました。

 けれども、これって不思議だと思いませんか?ちょっと昔だったら、
・「○○さんが好きだけど、どうアプローチしていいのか分からない」
 ・「○○さんを好きになってしまった。どうすればいいのか。」

 こういう恋愛相談がもっと多かったと思うんですよ。それか、『電車男』の「めし どこか たのむ」みたいに、デートのhow toみたいな相談も多かったかもしれません。いずれにしても、既に意中の女性なり男性がいて、その人と恋仲を深めるための相談が多かったと記憶しています。

 ところが、惚れた後の相談なんて今日日は流行らないみたいで、「モテたい」「モテない」という相談の比率が高くなってきている、どういうことなんでしょうね?


「モテたい」とは何か? まじめに考えてみよう

 そもそも「モテたい」とはどういう願いなんでしょうか?インターネット上に蔓延している「モテたい」「モテない」という声を総合して考える限り、「モテたい」=「異性だらけのハーレム状態になりたい」という意味ではないようです。「モテモテ」という言葉からは、たくさんの異性に好かれまくってとっかえひっかえみたいなイメージが浮かんできそうですが、「モテたい」と口にしている人達が、王様のようなハーレムを望んでいるようにはみえません。

 では、実際に「モテたい」と口にしている人達は、何を欲しがって「モテたい」とぼやいているんでしょうか。

 私は、「モテたい」の正体は以下のようなものだと思っています。


 ・“自分の欲求を異性に拒絶されにくい自分になりたい”
 ・“自分の欲求が異性に通るようになりたい”
 ・“ありのままの自分を異性に受け止めてもらえる自分になりたい”



 実際に「モテたい」と口にしている人達が欲しがっているものの正体は、異性に欲求を受け入れてもらえる自分になりたい、これでしょう。異性は別に一人でも構わない、けれども自分の欲求がストレートに通るようじゃなきゃダメだし、自分の欲求が拒絶されるようではダメ、ということです。たとえハーレムのように沢山の女性に囲まれていても、自分の欲求どおりにならなかったり拒絶されることもあるようでは嬉しくないし、美しい彼女やイケメンの彼氏と付き合ったとしても、相手の欲求ばかり充たしているぐらいなら御免被りたい;そんな気持ちが「モテたい」という願いに込められているのではないでしょうか。

 だから「モテたい」が口癖になっている人達にとって真に問題なのは、実は、彼女/彼氏がいるかどうかではありません。結婚できるかどうかでもありません。肝心なのは、“自分の欲求が拒絶されないこと”“自分の欲求が異性に通ること”なのですから。

 逆に言えば、たとえパートナーができたとしても「モテたい」という人の「モテたい」という願いが叶うかどうかはわかりませんし、彼女/彼氏持ちや既婚者が、なおも「モテたい」願望を燻らせているということも大いにあり得るわけです。



「モテたい」気持ちを飼い慣らすにはどうすればいいのか?


 じゃあ、どうすれば「モテたい」気持ちを飼い慣らすことができるのか?
 おおざっぱに分けて、二通りの方法があると思います。

 【1】ひとつは「自分の欲求を異性に通しやすい自分」「異性に拒絶される確率の低そうな自分」を目指すことです。

 「モテる」ためのhow to 本には、ファッションの見栄えを良くしよう、面白い話ができるようになろう、などといったアドバイスがちりばめられていますが、自分の価値を少しでも高めれば、拒絶されにくくなるだろうし話もちょっとぐらいは聴いてくれるようになるかもしれない……少なくとも、そう思いたい人は沢山いるでしょう。実際、コミュニケーションのTPOが欠落しているようでは異性に拒絶される確率も高くなるでしょうから、こうした指南書に書いてあることもある程度は有効だと思います。

 ただし「自分の欲求を異性に通す」「異性に拒絶される確率を下げる」には必ず限界があります。どんなにイケメンになろうとも、デート初日で“ありのままの俺を受け容れてくれなきゃヤダ!”とか言い始めれば女性にドン引きされたって文句は言えません。自分の欲求を、人並み程度のレベルで異性に求めるのは現実的ですが、“ありのままの俺を受け容れてくれなきゃヤダ”という水準で求めるのは現実的ではありません。


 【2】そこで、もうひとつ大切になってくるのは「自分の欲求を引き下げること」です。

 言うのは簡単ですが、実行するのはとても難しいことですよね、「自分の欲求を引き下げる」って。

 けれども、まず「自分の異性に対する欲求が実はすごく高い」ということを振り返ることができたなら、そこから少しずつ意識を広げていくことは可能かもしれません。異性との何気ない会話や「モテたい」と思って服を選ぶ瞬間、そのときそのときに自分がどれだけのものを相手に期待しているかを振り返ってみると、思いのほ沢多くのことを異性に求めていたことに気付くことがあります。

 例えば、“口ではレディファーストを自称しているのに、実際に飲み会や食事会に行ってみると、異性にコップを注いでもらうのがさも当たり前のような顔をして席に座ったままの男性”。この男性は、頭のなかでは自分は女性に尽くす男だと思いこんでいるのかもしれませんが、おそらく無意識のレベルでは「異性に対する欲求がすごく高い」殿様気分なのでしょう。それどころか「俺はこんなにレディファーストな紳士なんだから、本来はモテて然るべきだ」ぐらいに思っているかもしれません。実は異性に対する欲求がハイレベルだということに気付かぬ限り、この手の男性は異性にむしろ敬遠され続けそうです。

 ですから、「モテたい」気持ちを飼い慣らすにあたって、「自分の欲求を引き下げる」のは本当は重要なはずですし、実はそうしたほうが異性に拒絶されにくくなる人って、たくさんいるんじゃないかと私は思います。

 第一、もし実際に異性と付き合っていくことになったら、お互いに「自分の欲求を引き下げる」ができてなければ長続きしそうにありません。どちらか一方だけが自分の欲求を全部充たして貰うなんて関係が、穏便に長続きするわけがありませんし、それで幸せになれるカップルは極少数でしょう。結婚後も「モテたい」を抱えたままだと、なんだかすぐにこじれてしまいそうです。

 私は、「モテたい」気持ちを飼い慣らすにあたって本質的なのは、おそらくこの「自分の欲求を引き下げる」ほうだと思っていますし、恋人関係や夫婦関係になった時の幸不幸を決定づけるのも、こちらのほうだと思っています。ですから「自分の欲求を下げる」は非常に重要でしょうし、そのための第一段階は、無意識のうちに自分が異性に期待している欲求の大きさを知ることではないかと思います。



 以上、【「モテたい」=“異性に欲求が拒絶されない自分になりたい”“異性に欲求が通りやすい自分”】というビジョンを紹介してみました。この文章が、「モテたい」気持ちでモヤモヤしている人達の参考になれば幸いです。


 [関連]:「彼女がいない」より、「惚れない」ことのほうが深刻なのでは? - シロクマの屑籠(汎適所属)
 [関連]:「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」のメカニズム - シロクマの屑籠(汎適所属)

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