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正しい「法の下克上」を歓迎する

ポリオの予防接種をめぐって小宮山厚生大臣と黒岩神奈川知事が対立している。

黒岩神奈川県知事は発売中の週刊ポスト11月11日号で自らの意見の正当性を詳しく述べて吠えている。なぜ国は副作用の少ない不活性ワクチンの輸入を認めようとしないのか。親の要請が増えているというのに。先進各国では不活性ワクチンが主流であるというのに。

この素朴な問いに10月27日の日刊ゲンダイが答えてくれていた。

すなわち、国の不活性ワクチン導入が遅れている理由は、天下り財団法人である「日本ポリオ研究所」が国産の不活性ワクチンが作れるようになるまで待てという厚労省の「論理」があるからだ、と。

「ワクチン村」の既得権益が国民の健康より優先されているのだと。分かりやすい説明だ。しかし、そのことは今ここでは論じない。私が注目したのは、国の方針にさからって知事が自らの方針を貫くことがどうして可能なのか、ということだ。

官僚であった私のかつての経験からいえば、政府の方針に反することを地方自治体の首長が公然と行うことはありえなかったからだ。そう思っていたら、今日(11月4日)の東京新聞に復興特区法案についての次のような解説記事が掲載されていた。

すなわち、政府は東日本大震災の復興に向け、被災地での規制緩和などを認める「復興特区法案」を提出した、と。その法案によれば、政省令による国の規制を自治体が条例で変更できるという。

与野党内には、使い勝手をさらに良くしようと、法律についても条例で変更可能にする「上書き権」を盛り込むべきだとの声も出ているという。これは凄いことだ。「法の下克上」である。

たとえ震災対策上の例外措置としても、こういう特区を認めざるを得ないということは、もはや政府の能力に限界があるということだ。特区がアリの一穴となる可能性がある。

私が主唱する「もうひとつの日本」づくりが可能になるということだ。地方自治体の首長が、能力と覚悟と正しいこころざしさえあれば、地方から国を変えていけるということだ。もっとも「法の下克上」は既に公然と行なわれてきた。

日米同盟を重視する外務・防衛官僚たちは、米軍再編に協力するために、日米安保条約や憲法9条を否定する「日米同盟の深化」を、日米共同声明という最下位の法令で実施してきた。

これは悪しき「法の下克上」だ。こんなことが許されるのだから、正しい「法の下克上」が認められないはずはない。正しい「法の下克上」こそ日本の未来を開く鍵である。

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