- 2017年09月06日 09:15
"受付嬢が美人"で不採用 広報マンの後悔
1/2ネットは私たちに「全世界とつながる自由」を与えた。しかし、それは「全世界から見られるリスク」でもある。SNSでの「悪気のない発言」で、気づかないうちに信用を失う人が後を絶たない。ネット時代において、私たちはどのように情報を扱うべきなのか。ある広報マンの失敗事例を紹介しよう。
■「公」と「私」の境界なきインターネット世界
私は「広報」のプロフェッショナルです。広報とは、「広く報(しら)せる」の文字通り、「新製品が出ます」「新しい取り組みを始めました」「こんな事業を行っています」といった情報を社内外に広め、「選んでいただく」=「ブランドを高める」ための仕事です。
広めるべき情報を峻別し、「攻め」と「守り」のバランスをとりながら「真意を伝えるコミュニケーション」が求められる仕事です。私はこの仕事をとおして、「広めるべき情報」と「出さない情報」を区別する癖をつけてきました。
最近、ネットやSNSでの発言で失敗する人が増えています。たとえばこんな事例です。
・ノリで写真をSNS に投稿し、職を失った
・過去のつぶやきを理由に内定が取り消された
・ 一緒に写った人に無許可で写真を公開した後、疎遠になった
SNSは知人との連絡ツールだけでは終わるとは限りません。「公と私」の境なく、全世界に向けて「情報を発信する道具」という認識が希薄なために、若者だけでなく著名人ですら、しばしば炎上を起こしています。
■採用や入学の「最終決定打」もSNSの情報に
今や、人の採用、ビジネスパートナーの見極めにも、事前にネットでの発言や活動歴を調べるのは当たり前のこととなりました。
ツイッターが日本に上陸してしばらく経ったころのことです。日本の大手企業や、名だたるグローバル企業で広報の要職を歴任した知人に、ある企業から「次の選考に通れば、役員のポジションにする」という話がありました。ところが、十中八九間違いないと思われていた内定が、突如見送られてしまいました。彼が少し前に投稿したSNSでの発言が原因だったことが、後日判明しました。
ツイッターでの「○○社の受付嬢はいつも美人だ」という書き込みが上層部の目に留まり、「情報発信のプロとしての意識が甘い」という理由で白紙になったと、人事担当者がこっそり教えてくれたというのです。
彼はこの話を、さまざまな企業の広報担当者が集まる勉強会で披露してくれました。プライベートな情報を扱うときにも、自社の企業情報を扱う時と同じレベルで注意が必要なことを、私自身がはじめて実感するきっかけとなりました。
はじめて会う予定の人や、会合などで名刺交換した人のことをネットで調べるのは、多くの方が仕事の一環でされているでしょう。が、逆に、自分の名前も日々、どこかの誰かに「検索されている」ことを、どれだけ意識できているでしょうか。
2017年4月には、ハーバード大学がFacebookでの不適切なやりとりを理由に、秋入学予定だった少なくとも10人の入学許可を取り消したことを、学生新聞「ハーバード・クリムゾン」が公表しています。
合格者同志のフェイスブックで、人種差別的な発言や画像のやりとりなどをするプライベートグループがあったそうです。大学は、「実直性や人的未熟さ、道徳性に疑問がある場合は入学を取り消す権利がある」と、入学選考のルールを説明しています。
■リアルとネットで必要な「言葉を選ぶ力」
企業や学校に「選ばれる」ときだけではありません。
リアル社会では評判よく、能力や技術が秀でていても、ネットでの投稿内容が稚拙だったり、毒づくような感情的なコメントが多かったりすると、気づかぬうちにフォローを外され、「つながり」は遮断されていきます。
実績がありながら、なぜか人から信頼を得られない人は、ひょっとしたら秘密を守れないとか、余計な一言を言ってしまうといった傾向があるかもしれません。このような特徴や傾向は、本人もなかなか気づきにくいことです。
では、リアルとネット、ふたつの世界で生きるために必要な「情報を扱う力」とは何でしょうか?
・友人、知人を紹介される
・クライアントとの会食に誘われる
・意思決定の場に呼ばれる
・新規プロジェクトメンバーに抜擢される
・重要顧客を紹介してもらえる
・プライベートな飲み会に誘われる
・昇進のチャンスを得る
・休日のイベントに声がかかる
こうした「人とのつながり」にむけた大小さまざまな「誘われる」「選ばれる」チャンスを得るための地味ながらも重要なポイントのひとつが、「口の堅さ」です。
それは、情報を「発信する」と同時に「発信しない」ことを意識すること、と言えます。
「無口になれ」ということではありません。時と場合、相手や内容をみながら、「言う」「黙る」「伝える」を瞬時に見分ける能力、つまり、「言葉を選ぶ力」です。
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