- 2017年09月06日 09:15
「長寿大国ニッポン」何が"めでたい"のか
1/2昨年9月の厚生労働省の発表によると、100歳以上の高齢者は全国に6万5692人。これは46年連続の増加で、人口10万人当たりの人数は世界一という。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏も、今年72歳となり、男性の健康寿命71.19歳を超えた。元木氏は「100歳」を目指す風潮に、敢然とぼやく。
■誰のための「人生100年時代」なのか
「若者には未来なんてない、時間があるだけだ」
これは立川談志十八番「やかん」の中のご隠居さんの名文句である。
「ハンバーガーみてェな文明の残飯喰ってて、長生きするはずがない。それが証拠に、若いやつで長生きしている奴ぁ一人もいない」
日本には100歳以上の年寄りが約7万人いるそうだ。人口10万人当たりではイタリア、アメリカ、中国、インドを抜いて第1位である。
1963年には153人だったのが、1998年に1万人、2012年には5万人を超えた。まさに長寿大国である。といってもそのうち9割弱が女性ではあるが。
毎年4~5000人ずつ増えているというから、あと100年もすると100歳まで生きることが稀ではなくなるかもしれない。
どこの国でも長寿を寿ぐという習慣があり、日本でも喜寿、米寿、白寿と名付けて祝ってきた。ちなみに100歳以上は仙寿、110歳は珍寿、120歳は大還暦という。
そのうち還暦を2回祝う年寄りも珍しいことではなくなるかもしれない。
■長生き男たちが望む「死ぬまでSEX」
そうした時代を先取りしてか、書店に行くと『人生100年時代の新しい働き方』『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』『100歳まで元気な人は何を食べているか?』『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』などの本が並んでいる。
眠り方なんかいるか、死んでしまえばずっと寝ていられるんじゃ。杖のつき方で長生きできるのかと悪態をつきたくなるが、そんなに長生きしたいのかね。
アンチエイジング、植毛、ライザップとかで腹をへこますだけに何十万も使うという。
昔は地獄の沙汰もカネ次第といったが、今は長生きするのもカネがなくてはできないのである。
そうやって長生きした男たちが果てしなく増殖して、死ぬまでSEXと、ED薬を飲みながら女を漁る浅ましい世界がやってくるのだろうか。ゾンビの世界だね。
今年7月に日野原重明聖路加国際病院名誉院長が105歳で亡くなった。彼が90代の終わり頃にインタビューしたことがある。
1時間程度で取材が終わると、椅子に深々と腰掛けていた日野原院長が、手も衝かずにヒョイと立ってスタスタと部屋から出て行った。
■「長寿=悪」のような風潮が目立つ
その後ろ姿を見て、彼のように元気で仕事をバリバリこなして生きているなら、長生きもいいかもしれないと思ったものだったが、多くの人はそうではない。
テレビに出てくる元気印の年寄りたちも例外中の例外であろう。植物人間のようになって、延命装置の管をつけられて100歳を迎えるのでは、長寿とはいえまい。
それに最近、長寿=悪のような風潮が目立つ気がする。家庭では老老介護の悲劇が繰り返され、認知症になった親と、それを介護する子供とのトラブルがメディアを通じて喧伝される。
まるで年寄りは厄災であるかのような空気が蔓延し、それをいいことに、国は年寄りいじめとでもいうべき制度改悪を推し進めている。
『週刊ポスト』(9/8号)は、年金の受け取り年齢を今の65歳から75歳にする策謀が安倍首相の下、「未来投資会議」で進められていると報じている。
そうなると「夫婦で年金月額約22万円の標準モデル世帯の場合、10年分の年金収入約2640万円が減らされる。そうすると定年時点での貯蓄が2500万円ではとても足りず、退職金を合わせて5000万円の貯蓄があっても、85歳前に食いつぶしてしまいます」(ファイナンシャルプランナーの藤川太)
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