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悲しさを忘れるために何かに没頭することの是非

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 私は、どうしようもないんじゃないかと思う。
 
 せいぜい、今までどおりに働き、今まで通りに遊び、むやみやたらに生活のペースを乱さず、できるだけ自分の神経に負荷をかけず、しみわたるような悲しみが全身から抜けていくのを、じっと待つしか無いのではないだろうか。
 
 悲しみは、何かに没頭すれば無くなるかのように思っている人がいるが、違うと思う。いつも以上に何かに没頭しながら、後は時間が解決するのを待つ……というのは、一見、賢い方法にみえるが、それで追い払える悲しみは、せいぜい、数日程度で忘れられるレベルのものでしかない。年単位で葬送しなければならないような、大きく深い悲しみは、没頭による逃避では忘れきれない。忘れるよりも先に、心身がへばってしまう。
 
 それよりは、悲しみを抱えて暮らしながら、いつか、悲しみが占めている部分が別の何かによって埋められていく日が来るのを、じっと待ったほうが得策なのだろうと思う。
 
 人は、目の前に大きな悲しみが現れた時に、その悲しさを忘れるために、つい、何かに没頭してしまうし、それは短期的には有効な適応機制ではある。けれども、短期的にはどうにもできそうにない、大きな悲しみに対しては、それがむしろ不適応や不健康を招くおそれもある。悲しみに対処するのはとても難しいものだが、身体や神経の負担を顧みず、とにかく忘れようとするのは、危なっかしいと思う。
 

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