- 2017年09月04日 09:15
理解違いが起こりやすい「ぼかし言葉」3
1/2異動や転職の季節です。上司が変わる、部下ができる、あるいは全く違う業種の人と付き合うなど、周りで変化があるという方も多いのではないでしょうか。
そうした新しい環境はいわば一種の異文化です。つまり、これまで自分では当たり前と思っていたことが新しい環境では失礼にあたるというような可能性があるということです。たとえば、会議のときにホワイトボードに書いたものをスマートフォンで写真に撮ることは、以前の職場の文化では当たり前でも、新しいところでは失礼なことかもしれない。会議での発言をボイスレコーダーで録音するのも、非常識なことかもしれない。環境が変わったときには、そこは注意しなければならない点です。
■相手の基準に合わせるのが正解
そして、新しい環境では自分のやり方を貫くのも大切なことですが、“私プレゼン”では、相手の表現を理解し、相手の基準に合わせることがワンランク上のコミュニケーションだと考えます。
画像を見る知っておいてほしいのは、マナーには正解、不正解があるけれど、表現には正解、不正解はないということ。正解を決めるのは、目の前の相手です。ですから、相手に合わせるためには、まずは相手をよく観察して、相手の表現の癖を知ることが大切です。
たとえば会議のときに、イライラすると貧乏ゆすりをする、リラックスしたらジャケットを脱ぐ、退屈したら髪の毛をいじる、嬉しいときは拍手をするなど、相手の感情が動いたときにどんなふうに表現するか、それをよく観察してみましょう。相手の癖をチェックしておけば、その場では何がよくて何が悪いかということが見極められます。もし相手がリラックスしてジャケットを脱いだら、自分も相手に合わせて脱ぐのが正解ということです。
非言語表現だけでなく、言語表現でも同様です。目上の人の発言に「なるほど」とうなずいたり、「へぇ」を連発したりというのは、いわゆるマナー違反です。しかし、コミュニケーションにおいては、相手が「なるほど」「へぇ」と言う人なら、それがその人の最上級の表現と考えて、一緒に「なるほど」「へぇ」と言っても全く問題ありません。指標を決めるのは相手だからです。
■理解違いが起こりやすい“ぼかし言葉”に注意
とは言え、言語表現には理解違いが起こりやすいので気をつけたいところ。特に部下と話すときに、注意したいワードがあります。それは、「わかりました」「大丈夫」「微妙」の3つ。
たとえば部下が提出した書類を見て、あなたが「これはおかしいんじゃない?」と間違いを指摘したとしましょう。それに対して部下が「わかりました」と答えました。そのため、あなたは部下が書類の間違いを直したと思っていたのに、実際は直していない。なぜ? 「おかしいんじゃない?」「わかりました」ですから、部下は理解したと返事しただけで直していないわけですね。
「わかりました」は、上の立場の人とも理解違いが生じやすい言葉です。「こういうことが問題になっているので、改善してください」と部長に訴えたとします。そうすると「わかったよ」。この場合も部長は「わかった」と言っただけで「改善する」とは言っていない。こういう場合はイエスかノーで答える“クローズドクエスチョン”で、どんどん攻めていかなければいけません。「では部長から提案していただけるのでしょうか?」「私たちが提案してもよろしいですか?」あるいは「次の会議であげてもよろしいでしょうか?」など、どんどん具体的に詰めていく必要があるのです。
「大丈夫」も、こうした“ぼかし言葉”の代表的なひとつです。ある管理職の女性に聞いた話です。部下に「提案書の締め切りは○日だけど、どうなっている?」と聞いたら、「大丈夫です」と言いました。「締め切りに間に合うのだ」と思って放っておいたら、締め切りが過ぎても提出してこなかったそうです。なぜ? どうやらその「大丈夫」は「聞こえていますから言わないでください」という意味だったようです。
「微妙」も扱いが難しい言葉です。表記上は「ビミョー」がより感覚的には近いかもしれませんね。「最近、頑張っている?」「ビミョーです」もしくは「どこか具合が悪いの?」「ビミョーです」など、上司が部下に声をかけたときに答える、部下にとっての「ビミョー」という言葉は、いいことにも悪いことにも使われています。
ですから部下が「ビミョーです」と言った場合、「ビミョーって、どのあたりが?」「ビミョーっていい意味? 悪い意味?」と、質問を重ねていくことが必要です。そうすることで、その「ビミョー」の真意を知ることができます。そうすればコミュニケーションのすれ違いや間違いがなくなり、先に進めるのです。
画像を見るイラスト=米山夏子
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