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ひふみんVS.松村邦洋の「モノマネ合戦」が奇跡を呼ぶ

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共同通信社

加藤一二三――、愛嬌を描線にした福々しい鏡もちのようなフォルム、前歯のない口元に残り歯がちらつくいたずらっぽい笑顔、おもむろにノッキングする独特の口調。老成した名棋士でありながら将棋界での輝かしい功績はいったん脇に置き、そのゆるすぎるキャラクターが「ひふみん」という愛称と共に認知され、いまや全国区の人気者だ。

「ひふみん」のメディア露出を後押しした藤井聡太四段

振り返れば、加藤一二三をテレビバラエティに見出したのは「アウト×デラックス」(フジテレビ)だった。2012年から番組のアウトな準レギュラーとなり、その露出は長らく「アウト×デラックス」内にとどまっていた。

そして時運がおとずれる。加藤一二三をアウトからデラックスへと引き上げたのは、14歳の天才中学生、藤井聡太の出現だった。史上最年少14歳2ヶ月でプロ棋士(四段)に昇格、にわかに注目を浴びる若者がデビュー戦で対局する記念すべき相手が加藤一二三となった。

加藤は14歳7ヶ月という史上最年少デビュー記録を保持しており、かつての史上最年少VS当代の史上最年少という巡りあわせのドラマと、14歳と76歳という年齢差62歳の公式戦最長年齢差記録も重なり、2016年12月24日に行われたこの一戦は将棋界の枠を超えるクリスマスイブのニューストピックとなった。

その後ご存知のとおり、藤井少年は淡々黙々と公式戦29連勝という前人未踏の記録を打ち立てる。この連勝更新の度に棋界と世間をつなぐ架け橋を担ったのが加藤一二三だった。加藤のメディア露出は全国隅々に行き渡り、2017年上半期、藤井効果の後押しを受けて「加藤一二三/ひふみん」はブレイクスルーを果たす。

さらに時運は続く。くしくも加藤は6月に現役引退を迎え、その報道量は「アウト×デラックス」だけに出演していた頃からは比較にならないテレビスターの扱いとなった。加藤一二三はすでに2017年の顔の一人となり、おそらく大晦日には紅白歌合戦の審査員席に座っていそうだ。

加藤一二三の現役引退後のライフワークは、棋士としての足跡である対戦の局譜を著作にまとめることだという。通算成績1324勝1180敗。棋士として歩んだ証はいずれ加藤の執筆で余すことなく遺されるだろう。

ひふみんが「猫」のモノマネでみせた底力

さて、ジダイの笑いを記すこの稿では、そんな加藤一二三がこの夏に残した、将棋とは別の対局を現場で目撃したので書きとどめる。

場はラジオの生放送、パーソナリティーは春風亭昇太と乾貴美子。スペシャルゲストに加藤一二三が登場した。番組中、加藤はひとつの対局にいざなわれる。

<2017年8月23日放送 「ラジオビバリー昼ズ」(ニッポン放送)より>
乾 「きょうはですね、芸能界のとある方から加藤一二三さんに質問のメッセージが届いてまして」

加藤「んー、んー、んー」

乾 「ちょっと流してもよろしいでしょうか」

声「(加藤一二三のものまねで)あ、あ、どうも、加藤一二三、九段九段九段。わたしは、将棋とか、アタマを、使うのが、苦手な、松村、邦洋と、いいます」

加藤一二三へのメッセージと称して録音で流れた声の主は松村邦洋だった。松村はこの夏、ものまねの新ネタとして「加藤一二三/ひふみん」を解禁していた。その完成度はすこぶる高く、リフレインする発語に加え、福岡県嘉麻市出身の微妙な訛りも見事に捉えていた。

BLOGOS編集部

この松村による新ネタ加藤一二三のものまねを、いち早く加藤本人に直撃する・・・そこで加藤本人はどんなリアクションを見せるのか。それが番組の意図だった。

<同上より>
松村(録音)「(加藤一二三のものまねで)将棋のかわりにものまねが、好き、なななななんですけど、ひふみん、さんが、得意な、ものまね、ありますか? 人でも、どうぶつでも、かま、かま、かまいません、かまいませんよ」

松村によるものまねは、将棋であれば加藤の陣中深くに打ち込まれた詰めの一手。快音を立てて盤面に指された「金将」か。この至芸に加藤は表情を変えずじっと耳を傾けていた。笑顔はない。見ようによっては怒っているようにも見えなくない。果たして加藤はどんなリアクションをするのだろう。松村の音声が終わり、スタジオにトークが戻る。

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