- 2017年08月28日 08:31
再生医療安全性確保法違反の疑いでの初逮捕=臍帯血無届け投与
1/2再生医療安全性確保法違反の疑いでの初逮捕です。
捜査は、愛媛、高知、茨城、京都の4府県警の合同捜査本部と言う広域捜査で行われています。
再生医療安全性確保法は、正式名称:「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」と言い、平成25年にでき、平成26年に施行された比較的新しい法律です。
法律の目的は、第1条に次のように記載されています。
「この法律は、再生医療等に用いられる再生医療等技術の安全性の確保及び生命倫理への配慮(以下「安全性の確保等」という。)に関する措置その他の再生医療等を提供しようとする者が講ずべき措置を明らかにするとともに、特定細胞加工物の製造の許可等の制度を定めること等により、再生医療等の迅速かつ安全な提供及び普及の促進を図り、もって医療の質及び保健衛生の向上に寄与することを目的とする。」
安全性のみならず、生命倫理への配慮が、冒頭1条にうたわれています。
臍帯とは、あかちゃんのへその緒のことですから(臍帯血=wikiの解説参照)、臍帯血の採取及び治療への転用については、生命倫理への配慮が必要なことはもちろんです。
ところが厚生労働省の解説(厚生労働省のHP)には、次のような説明が付され、「生命倫理への配慮」は記載されていませんので、法律に対する不十分な解説ということができます。
「再生医療については、平成26年9月に、世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われるなど、着実に成果を上げていますが、再生医療は、これまで有効な治療法のなかった疾患の治療ができるようになるなど、国民の期待が高い一方、新しい医療であることから、安全性を確保しつつ迅速に提供する必要があります。
このため、平成26年11月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と併せて、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を施行し、再生医療等の安全性の確保に関する手続きや細胞培養加工の外部委託のルール等を定めました。
また、関係省庁と連携し、基礎研究から臨床段階まで切れ目なく一貫した研究開発助成を行い、臨床研究やiPS細胞を用いた創薬研究に対する支援など、再生医療の実用化を推進する取組みを実施しています。」
このような有用性を重視した厚生労働省の立場が、今回の安易な民間療法ともいえる、臍帯血治療が生まれるきっかけとなったことは否めないと思います。
昨年6月3日には、厚生労働省は通達(⇒PDF)を発し、注意喚起をしていたところでしたが、厚生労働省の調査に1年、摘発に1年以上を要しました。あまりに遅きに失したと思います。
「今般、本法に基づく手続きを経ずに臍帯血を用いた再生医療等を提供しているとの情報等が複数寄せられたことから、あらためて、貴管下の医療機関及び関係機関に対し、別添について周知徹底をお願いします。
なお、本法の違反が疑われる医療機関や臍帯血あっせん事業者等の情報が得られた際には、厚生労働省医政局研究開発振興課に情報提供をお願いいたします。」
厚生労働省は、現時点では、安全性の観点では、被害は報告されていないとしていますが(参考記事にあげたニュース)、厚生労働省の発表を信ずるとしても、それは結果論にすぎません。通達から業務停止まで1年以上かかったこと自体が問題であるという認識を持つべきです。
患者も消費者です。しかも病気を持った患者は、心の弱った消費者だということができます。しかも被害は高額です。今回の事件は、とても悪質な消費者被害です。
厚生労働省、そしてこれを直接監督すべき立場の厚生労働大臣(2014年9月から2017年8月、すなわち今年6月の処分時は、塩崎恭久氏、2017年8月からは加藤勝信氏)や政府、そして政治家も、生命倫理への配慮と同時に安全性の確保も、再生医療安全性確保法の冒頭にあげられていることに、もっと、心すべきだろうと思います。
- 弁護士 紀藤正樹 Masaki kito
- 宗教被害や消費者被害、インターネット犯罪に詳しい。



