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偵察爆撃機ドーントレスを見ながらミッドウェー海戦を考えた

(え、こんなに小さいの?)
これは、ミッドウェー海戦で、空母加賀ならびに赤城などを沈めた偵察爆撃機ドーントレスの爆弾を見た時の感想です。

SBD Dauntless

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ペンサコーラにある国立海軍航空博物館に展示されたドーントレスの印象は、(思ったより、ずっと精悍だな)というものでした。

ドーントレスから、数歩離れたところにゼロ戦と紫電改もあります。

だから三者をじっくり見比べることが出来ます。

ゼロ戦や紫電改が美しいのは当然として、ドーントレスも贅肉を削ぎ落とした、それでいていかにも頑丈な印象です。一見して、手強い相手だったことがわかります。

ペンサコーラはフロリダの西の端、アラバマ州に近いところにある「基地の町」です。ペンサコーラ海軍航空基地(NAS)は最近ではアメリカ海軍アクロバット飛行隊「ブルー・エンジェルス」の本拠地として知られていますが、第二次世界大戦当時は空母航空団のトレーニングを行った基地でした。

ミッドウェー海戦に出撃した急降下爆撃チームも、ここで猛訓練を行いました。

ドーントレスによる急降下爆撃は、通常、高度5千8百メートルの位置で索敵し、急降下の狙いを定めるところから始まります。

ドーントレスは70度の角度で急降下するように設計されています。これは日本の九九式艦上爆撃機より遥かに急角度です。

70度だと、感覚的には真っ逆様に落ちてゆくのと同じ感覚だそうです。

一般にダイブ角度が急角度であるほど、爆弾を放ったときの軌跡と、爆撃機そのものの軌跡の乖離が小さくなる関係で、命中精度が高くなります。

だから急降下爆撃機が優秀であるかどうかの尺度は、まずダイブ角度をどのくらいアグレッシブにできるか? にかかっているのだそうです。

しかし垂直に近いカタチで急降下するとコンプレッサビリティ―(臨界圧縮)の問題が生じ、カンタンに言えば金縛りにあったように機体の制御ができなくなります。そこでダイブ・ブレーキと呼ばれるフラップを出して降下速度を制御するのです。

SBD Dauntless

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ダイブ・ブレーキを使用したときの降下速度は時速276メートル。これだと自然落下速度より遅いので、パイロットの体のほうが速く落ちようとし、シートベルトを締めていても尻が座席から浮きます。

そして海面から300メートルのところで爆弾を放つわけです。

この間、49秒。

冒頭のところで書いた、胴体の下にある主爆弾は226キロ爆弾です。その他、両翼に小さな焼夷弾があり、合計3発。この組み合わせでミッドウェー海戦は戦われました。

ドーントレスのパイロットたちの手記には、次のような記述があります。
「空母赤城の甲板は、ハッと息を呑むような鮮やかな黄色で、おまけに日の丸がこれみよがしに描かれていた。その日の丸めがけて、おれは真っ逆様に落ちて行ったわけだ」
空母赤城は木製甲板なので「鮮やかな黄色」というのは、そのことを指しているのでしょう。日の丸は、わざわざミッドウェー海戦の前に新しく描かれたものです。

急降下爆撃では、標的がどのようなスピードで航行しているかを6千メートル離れた上空から当て推量しなければいけません。これはたいへん難しい判断になります。

だから甲板いっぱいに描かれた日の丸をみて(助かった!)と思ったパイロットも多かったそうです。

ペンサコーラ海軍航空基地での猛訓練では「敗者のゲーム」という考え方を徹底的に叩き込みます。(これは株式投資でもよく出てくる考え方です)

たとえばテニスは「敗者のゲーム」、つまりミスの少ないプレーヤーが勝つわけです。

手順に則り、基本動作をきっちりと行えるよう、血の出るような訓練が続いたそうです。

急降下爆撃の際は標的から目が離せません。ドーントレスはとても運動性能の良い飛行機なのですが、コックピットは複雑で、70種類ものスイッチがありました。

そこでその70種類のスイッチを見なくても操作できるよう、目隠しテストし、合格者だけが前線に送られたのです。

ミッドウェー海戦では、ドーントレスは、のべ68回急降下爆撃を行いました。1回に3発の爆弾を投下できるので、合計204発ということになります。

空母は3発被弾すれば沈没します。

そこで僕が思ったことは(ミッドウェー海戦での敗戦は、ほんとうに「運命のいたずら」だったのだろうか?)ということです。

これは自分自身に特にあてはまることですが、われわれは日本が勝っていた時の活躍だけを切り抜いて(日本は強かった!)と自己満足し、負けはじめた以降の分析は、殆どしません。

なるほど、索敵においてアメリカ側に発見されたのは、たしかに不運かもしれません。暗号が敵に解読されていたということもあるでしょう。

でも、目隠ししても70種類の林立するスイッチを正確に操作できるほど良く訓練された相手から、のべ68回におよぶ急降下爆撃を受けるという想像力があれば、甲板に日の丸を描くようなバカなことはしなかったように思います。

その時点で、この戦はもう負けていたのでは?

ミッドウェー海戦前までは、日本はアメリカとの交戦で一度も負けていません。しかしミッドウェー海戦以降は、日本は全ての交戦で負けています。

空母を失ったから戦争に負けたのではなく、空母は失うべくして失ったのです。

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