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急性中毒|合法ハーブを斬る・番外

「合法ハーブ」と呼ばれるドラッグの販売が目に付くようになると同時に、このドラッグによる急性中毒の報告も増えています。その実態について、京都府警が発表しました。

<ニュースから>
●合法ハーブ 健康被害19件 京都
■「安易な気持ちで吸飲しないで」 府警呼びかけ

府警組対3課は15日、今年に入ってから幻覚や興奮作用のある「合法ハーブ」を使用した人の健康被害が府内で19件あったと発表した。合法ハーブは大麻と類似成分が含まれるものもあるが、大麻取締法などには抵触しない。府警は「薬物という認識をもち、安易な気持ちで吸飲しないでほしい」としている。

合法ハーブは販売者側の通称で、実際には薬事法で指定された薬物を含む製品もある。また、指定以外の薬物を使用したハーブであっても、粉末状の葉をタバコ状にして煙を吸飲し、嘔吐や手足のけいれん、意識障害などの健康被害を訴えるケースが頻発しているという。

府警によると、今年は9月末現在で17~41歳の府内19人の男女がハーブを吸飲した後に健康被害を訴え、うち18人が病院に搬送された。府警は「ハーブを入り口に大麻や覚醒剤に手を染める可能性もある。持っている人はただちに使用を中止し、病院に相談してほしい」としている。
MSN産経ニュース(2011.11.16 04:13)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111116/kyt11111602140004-n1.htm

注意!とくに強力な合成カンナビノイドが増えている



「合法ハーブ」として販売される脱法ドラッグには、合成カンナビノイドが含まれていて、この成分を人が摂取すると、大麻中のTHCとよく似た作用を表します。でも、大麻中のTHCとは異なり、人工的に開発された合成カンナビノイドの中には、その作用がTHCよりはるかに強力なものもあるのです。

合成カンナビノイドは、大麻中のTHCと同じように、主に脳や脊髄に多く分布しているCB1レセプターに結合して、様々な精神作用を表します。レセプターとカンナビノイドの結合が強いほど、精神作用も強くなるといわれますが、その結合の強さ(親和性)を表す指標として使われるのがKi値という数字で、数値が小さいほど結合が強いことを表しています。合成カンナビノイドに関する文献には、たいていKi (nM)といった形でこの数字が記載され、個々のカンナビノイドの作用の強さの目安となっています。

なお、合成カンナビノイドの作用の強さを表すために、よく「THCの○倍」といった表現をしますが、これは、大麻中に含まれるデルタ9-THCのKi値40.7を基準に単純計算した値です。


さて、最近出回った合成カンナビノイドをみると、このKi値が極めて小さいものがいくつかあることが気になります。わが国で今年4月と9月に指定薬物に追加されたものから、とくにKi値の小さいものを抜き出してみましょう。

・JWH-081・・・Ki値1.2(THCの約30倍)
・JWH-122・・・Ki値0.69(THCの約60倍)
・AM2201・・・Ki値1.0(THCの約40倍)
・JWH-210・・・Ki値0.46(THCの約90倍)
・AM694・・・Ki値0.08(THCの約510倍)

「合法ハーブ」と呼ばれる商品には、大麻中のTHCの数十倍から、極端なものでは500倍を超える効力を持つ合成カンナビノイドが含まれている場合があるのです。しかし、販売されている商品に使われている合成カンナビノイドの種類も量も、ユーザーにはまったく知らされません。しかも、同じ名前の製品でもパッケージごとに添加された合成カンナビノイドの量にかなりのばらつきがあるのです。急性中毒による健康被害が多発している背景には、こうした事情もあると思われます。

最近のヨーロッパで、とくに強力な合成カンナビノイドが出回って健康被害が相次いだ事例が、国連薬物犯罪事務所の報告書にあるので、簡単に紹介しましょう。

ドイツやイタリアで販売された‘Lava red’というブランド名のハーブ製品を使った若者が、重症の副作用で病院に搬送されるというケースが、ドイツで相次いで起きました。患者は全身の筋肉のけいれんや意識障害を起こし、人工呼吸が必要だったといいます。問題の製品を分析した結果検出されたのはJWH-122、数年前に「スパイス」に配合され、その後各国で規制されたJWH‐018によく似た化学構造をもつ合成カンナビノイドです。化学構造をみると、問題のJWH-122はJWH‐018と実によく似ていますが、JWH‐018ではこのような副作用は報告されていません。報告書は「JWH‐018ではこうした症状が報告されていないことを考えれば、この例は、化学構造のごくわずかな変化が、毒性の急激な上昇につながることもありうると強調するものである。」としています。

実はこのJWH-122を配合した製品はわが国でも多数出回っており、2011年4月に指定薬物に追加されました。審議会では、関係機関が行った買い上げ調査で19製品からJWH-122が検出されたと報告されています。

[参照]
国連薬物犯罪事務所編『ハーブ製品中の合成カンナビノイドSynthetic Cannabinoids in Herbal Products 』April 2011(‘Lava red’については11頁)

http://www.unodc.org/documents/scientific/Synthetic_Cannabinoids.pdf

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