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女子バレー復活から学べること

女子バレー・ワールドカップチームが盛り上がっています。昨日の白熱したドイツ戦はほんとうに肩が凝りました。ご覧になっていた方はお疲れ様でした。今夜のアメリカ戦が楽しみです。

それにしても日本の女子バレーの復活ぶりはめざましいものがあります。

日本の女子バレーが「東洋の魔女」として旋風を巻き起こしたのは、1962年の世界選手権と1964年の東京オリンピックでした。当時はいまのように代表選手制ではなく、大松監督率いる日紡貝塚のチームが圧倒的な強さを発揮し、団体球技としてははじめて金メダルを獲得したのです。東京オリンピックのときは、ソ連との優勝決定戦では関東地区で66.8%の視聴率に達し、スポーツ中継としては歴代最高記録を残しています。

当時の日本が武器にしたのは回転レシーブです。もうひとつが、「根性」です。「鬼の大松」とも言われた大松監督の徹底したスパルタ式トレーニングで心身ともに鍛えられた選手が活躍したのです。そして日本とソ連の2強時代が続きます。その影響もあったのでしょう。スポーツの「根性」ものの漫画が多数生まれ人気がでます。当然、勝つためには「根性」だという風潮も生まれたように思えます。

しかし、1980年代から低迷期に入ります。中国や韓国、また南米の新興国が加わってきたことと、回転レシーブにしても、Aクイック、Bクイックなどの戦術も、それらの新興国にキャッチアップされ、日本女子バレーは競争力を失います。

女子バレーが復活への道を歩み始めたのは、2003年に柳本監督が就任した時からでしたが、その成果がでたのは、2007年のアジア選手権で、24年ぶりに金メダルを獲得しています。つまり、女子バレーは20年以上の低迷に苦しみ、そしてやっと復活の方程式を完成させはじめているのです。


なにか女子バレーの低迷期は、現在の日本に似ていると思いませんか。

「根性」を「ものづくり」に置き換え、回転レシーブなどを「品質や性能」と置き換えてみればどうでしょう。

今は、「根性」という言葉ではなく、選手たちは「強い気持ち」と表現しています。もちろんどのようなスポーツも「強い気持ち」がなければ勝てません。しかし、「強い気持ち」だけでは勝負になりません。多くの競技で「根性」、「大和魂」といいながら、競り合いで精神的に弱く、ボロボロと崩れていく日本のチームをいやというほど見せられてきたものです。むしろ新興国の人たちのほうがハングリー精神が旺盛でした。

「ものづくり」も同じです。高度な「ものづくり」の技術が競争力を支えることは間違いありません。しかし今は「ものづくり」だけでは勝てません。なぜなら、それだけでは新興国がキャッチアップし、その優位性も失われます。それに、多くのビジネスは、「しくみ」の競争、「価値」をめぐる競争に移ってきたからです。

女子バレーで、眞鍋監督がiPadを手にして、ベンチとデータでやり取りし、指示をしている姿がいまや日本女子バレーのひとつの光景ともなっていますが、それは選手以外のスタッフによってもチームが支えられていることを象徴しています。

それは「チーム北島」とも似ています。サッカーも同じです。サッカーもJリーグが誕生し、選手とファンの層を広げ、また海外のチームで選手が鍛えられるようになり、また優れた指導者のもとで長い低迷期を脱出してきました。

データ分析だけでは勝てません。チームの運営、戦略、練習メニュー、コンディショニングなど工夫の積み重ねの上に、「強い気持ち」、「データ分析」があってはじめて勝てます。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : 「チーム北島」が時代のキーワードとなりそうだ :

さて、女子バレー・ワールドカップの視聴率を見ると、関東地区ではブラジル戦で16.3%でした。昨日のドイツ戦はまだわかりませんが、東京オリンピックのときのように、みんながテレビに釘付けという時代とは比べ物にはなりません。テレビそのものが衰退してきました。視聴率で20%を超える番組もひとつあるかどうかの状態で、時代の変化を感じます。

日本の経済も、産業も、おそらく政治も時代の変化という現実を直視し、またそれに適応するために、体制をシフトしなければ、長い低迷から脱出できないだろうと痛切に感じます。

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