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「1人足りとも殺させないため」に、必要なもの

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前回のコラム
「戦争に行く」は罰ゲーム?
には、たくさんのご反響を頂きましてありがとうございました。

いろいろな媒体に取り上げられ、中にはセンセーショナルな文言を付けられたものもあって、「自衛官に失礼だ」と言ってる私が一番村本さんに失礼なことをした結果になってしまい、村本さんにはとても申し訳なく思っています。

頂いたコメントやSNSなどでのご意見、ご感想を読ませて頂いて、私も改めていろいろと考えました。

私は自衛隊に関する本や記事を書いていて、ファンレターを頂くことがあります。
中には、「岡田さんの本を読んで、自衛官になりたいと思いました」という若い方もいらっしゃいます。
そして、「無事、採用が決まりました。この春から入隊します」とご連絡をくださることもあります。

また、自衛隊の取材に行ったり、予備自衛官の訓練に出頭すると、若い自衛官や予備自衛官から「岡田さんの本を読んで自衛官になりました」「予備自衛官になりました」とお声掛け頂くこともあります。

こういう声を頂いて、「嬉しい」という気持ちはもちろんあるのですが、同時に「私はとんでもないことをしているのではないだろうか」という気持ちも沸き上がります。

もしも、「岡田さんの本を読んで自衛官になりました」という彼ら、彼女らの身に何かあったら……私はご家族になんて謝ればいいんだろう……。
どうか、どうか、ご無事のご勤務を……。

みなさんご存じのように、自衛隊の任務には身の危険が伴います。
有事でなくとも、災害派遣や訓練中の事故で殉職される方もいらっしゃいます。

もちろん、彼ら、彼女らはそこを承知で自衛官をやっていると思います。
ご家族のみなさんも、葛藤を抱えた上で、大切なご家族を送り出してくださっていると思います。
だから、私がこんなことを考えるのは失礼なのかもしれません。

でも、やっぱり考えてしまいます。

「岡田さんの本を読んで自衛官になりました」という彼ら、彼女らだけでなく、私には自衛隊に多くの友人・知人がいます。
みなさん身の危険を承知で自衛官を続けています。
しかし、誰一人、友人・知人でなくとも、「何か」は絶対に起きて欲しくありません。

前回のコラムは村本さんも目に留めてくださったようで、こんなツイートがありました。

……とまた村本さんに絡んで大変申し訳ないのですが、村本さんご自身もおっしゃっているように、村本さんは「難しくてよくわからないけど知りたい」という人の代弁をしてくださっているんですよね。
そして私も、以前から「難しくてよくわからないけど知りたい」という人に伝えたいと思ってあれこれ書いている人間です。

ので、「わからないけど知りたい」を端的に表現してくださる村本さんの発言は、例としてとても適切でありがたく、乗っからせて頂いています。

上記ツイートにあるように、村本さんは自衛官の方々とお話をされたそうです。
その旨を伝えるツイートには同席されている方の写真もありましたので、ツイートの文章のみ転載します。
稚内のスナックに自衛隊の人達が飲んでた。だからおれの発言の国のために死んでほしくないって話が失礼か聞いた。そしたら「俺たちの口からは言えない、家族がそう言ってくれるのはほんとに嬉しい」って言ってくれた。自分たちに死ぬ覚悟があっても国のために死んでくれと言われて嬉しいはずがない。
スナックきてよかった。自衛隊の話たくさん聞けた。一緒にいっぱい話し合った。世に出ていない話たくさん聞けた。会えてよかった。スナックの女の人も優しくて、自衛隊員は最高にかっこよかった。
そして、最後にこのツイートで絞められていました。
「1人足りとも殺させないために、命をかけて外交を。」

この村本さんのご意見は、私もまったくの同感です。
そして、私は「1人足りとも殺させないため」には、「命をかけた外交」に加えて「命をかけた抑止力」も必要だと考えています。

人は、何かを実行しようとするときに「それが実現可能かどうか」を考えます。
「やれるな」「やれそうだな」「やってみる価値はあるな」であれば、実行を考えます。
「どうあがいてもやれないな」「無理だな」であれば、実行をやめ、別の道を考えます。

もし、とある「X国」が「日本を攻撃・侵略しよう」という考えを持ったとしたら。

もし、X国が日本を攻撃・侵略しようという考えを持ったときに、日本に「攻撃・侵略を防ぐ力」がなければ、「やれるな」「やれそうだな」「やってみる価値はあるな」と考えるかもしれません。
少なくとも「日本を攻撃・侵略する」が、選択肢のひとつに残ります。

でも、X国が日本を攻撃・侵略しようという考えを持ったとしても、そのとき日本に「攻撃・侵略を防ぐ力」があれば、X国は日本への攻撃・侵略を「しない」という選択を取ります。
日本に「攻撃・侵略を防ぐ力」があり、攻撃・侵略できる可能性が1ミリもなければ、X国は攻撃・侵略を実行しても時間とお金と人の無駄遣いになるだけですから。

「攻撃・侵略を防ぐ力」=「抑止力」が大きければ大きいほど、日本は攻撃・侵略されにくくなります。
日本が攻撃・侵略されにくくなれば、戦闘が起こりにくくなり、「1人足りとも殺させない」がより実現できます。

日本における「抑止力」には、「自衛隊の実力」、そして「自衛隊を運用するための法・制度」があります。
これらを高めることにより、抑止力は大きくなります。
では、抑止力の要素のひとつ、「自衛隊の実力」をより高めるためにはどうすればいいでしょうか。

「自衛隊の実力」にもいくつかの要素があります。
装備品の性能、それを運用する技能・知識、そして自衛官の能力、意思、などなど……。
「自衛隊の実力」をより高めるためには、このすべてがレベルの高いものである必要があります。

このうちの、「自衛官の意思」。
「抑止力」の要素のひとつである「自衛隊の実力」の要素のひとつである「自衛官の意思」。

もし、自衛官が
「俺は死ぬ危険があっても任務を遂行する」
「俺は死ぬ危険があれば任務を捨てる」
と言った場合、どちらがより大きな「抑止力」でしょうか。
どちらのほうが、X国が「日本への攻撃・侵略をやめよう」と思うでしょうか。

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