記事

トランプ政権終わりの始まり

1/2

画像を見る
*トップ写真:スティーブン・バノン首席大統領補佐官/出典:flickr Michael Vadon

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

【まとめ】

・バノン米首席戦略官更迭の日本メディアの論調は的外れ。

・最大の問題はトランプ氏自身、政権を統制できていない。

・トランプ政権の終わりが始まったと言えるが、いつ終わるかは不透明。

818日、遂にスティーブ・バノン首席戦略官が公式にホワイトハウスを去った。バノン氏は既に事実上辞職していたが、12日のバージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義団体と反対派の衝突のため発表が遅れたという。これは日本にとって、世界にとって朗報なのか。筆者の見立てはこうだ。

まずは日本のメディアの論調だが、率直に言ってちょっと的が外れている。大見出しは「陰の大統領、バノン氏孤立の末」「トランプ氏最側近更迭」「外交安保娘婿らと衝突、政権にリスク」「トランプ主義支柱退場」等だったが、筆者はバノン氏だけに焦点を当てた分析では不十分だと考える。

そもそも、バノン氏は7日に既に職務を離れている。されば12日にトランプ氏が、「各方面の憎悪、偏見、暴力」を非難しつつ、白人至上主義の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)やネオナチを名指しで批判しなかったことにバノン氏が関与したとは思えない。問題の本質はもっと別のところにあるはずだ。

勿論、バノン氏が極端な民族主義者であり、既得権層や中国のような外国を敵視する極右系の人物であることは事実だ。だが、彼は「陰の大統領」ではなかったし、最近急に「孤立」するようになった訳でもない。彼は昔から自らのイデオロギーに忠実な思想家・革命家であったし、これからもそうだろう。

問題はバノン氏ではない。ケリー首席補佐官や、娘婿クシュナー氏、コーン経済安全保障補佐官でもない。真の、かつ最大の問題はトランプ氏自身なのである。ケリー補佐官にバノン更迭を認めたのはトランプ氏だろうが、この事実こそトランプ氏がトランプ政権を自ら統制できていない証拠である。

画像を見る
▲写真:トランプ米大統領/Photo by Michael Vadon

〇南北アメリカ

ついでに言うと、バノン氏の誤算は少なくとも三つある。

第一は、思想的に波長の合うトランプ氏がバノン氏ほどイデオロギー的ではなかったこと

第二に、バノン氏の独善的全能感により他の人間が馬鹿に見えて仕方がなかったこと

第三に娘夫婦がトランプ氏よりも遥かに賢く、現実主義者だったことだ。

画像を見る
▲写真:トランプ氏娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問と娘イヴァンカ・トランプ大統領補佐官/Photo by North Charleston

あわせて読みたい

「ドナルド・トランプ」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    コロナ対策は菅内閣にも直結 東京の新規感染者数が5000人超えなら菅内閣はもたない

    田原総一朗

    07月28日 14:43

  2. 2

    東京3000人は五輪強行開催によるモラル崩壊の証。もう誰も自粛しない

    かさこ

    07月28日 08:46

  3. 3

    西村大臣の酒類販売事業者への要請撤回 首相官邸の独断に官僚からも疑問の声

    舛添要一

    07月28日 08:34

  4. 4

    「きれいごとだけでは稼げない」週刊文春が不倫報道をやめない本当の理由

    PRESIDENT Online

    07月28日 12:30

  5. 5

    テスラのマスク氏、豪邸売払い、500万円の狭小住宅暮らし!

    島田範正

    07月28日 15:45

  6. 6

    逮捕されても臆することなく、取材を続けよう〜田原総一朗インタビュー

    田原総一朗

    07月28日 08:07

  7. 7

    ロッキンは中止する必要があったのか?〜7 /8の議院運営委員会で西村大臣に質疑を行いました〜

    山田太郎

    07月28日 09:58

  8. 8

    上司も部下も知っておきたい 「1on1」を機能させるためのコツ

    ミナベトモミ

    07月28日 12:00

  9. 9

    森喜朗元首相の「名誉最高顧問」就任案 五輪組織委員会の異常な優遇に疑問

    マガジン9

    07月28日 14:35

  10. 10

    首都圏3県の緊急事態宣言、要請あれば緊張感持って連携=官房長官

    ロイター

    07月28日 20:24

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。