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「日本」”JAPAN”から”NIPPON”へ・・・経済は停滞しても文化浸透は止めない

アクセス数を見る限り全く持って人気がないが、L.star当人がもう考え出したら止まらないので、引き続き日本の「ネイション」を問うシリーズ第3回。第一回は国家民族に再フォーカスし、鎖国によって日本の良さを守る、超効率エコ社会を訴える「現代に おいて鎖国が現実味を帯びる時 ー 日本第一百科事典財団構想」、その次は経済と企業システムの再興を宗教改革になぞらえた「意義の ある「労道」がしたいー21世紀の日本で宗教改革の波が」。

第3の仮説は「創造の共同体」の望ましい規模が、日本国(=民族=宗教)より大きいならどうなる?と言う考えに基づく。たとえ ば「資本主義」イデオロギーは日本国よりずっと大きい。アメリカ合衆国も大きい。中国もロシアも、である。歴史的に見ると、巨大な共同体は強大だ が、それを維持するためのコストも増大するため、長期的に存続するのは難しい。しかし小さすぎると逆にスケールメリットが得られずじり貧となる。このちょうど良いサイズを求めるのが正解であろう、という考えに基づいてだ。もちろん、 この大きさを客観的に評価するのはそもそも不可能で、説明すら困難である。しかし、「日本」において、日本国土より大きくなりうるものと は何か、という問いに3つの答えがあった。「企業」「文化」「経済」である。

経済と企業については前回語った。だから、3番目の話は「文化圏」である。

日本文化は、すでに日本人という枠を超えて広がっている。だ。これは現実にオランダのスーパーマーケットでSUSHIがパックで売られていたり、デュッセルドルフのラーメン屋でドイツ人がラーメンを食うのに四苦八苦しているのを見ると感じずには居られないものである。異なる文化圏において、日本文化は確かに一定の勝利を収めている。「開かれた日本は素晴らしい。 しかし、なぜそう思うようになったのか。」でも指摘したが、これはまごうことなき事実だ。

この「文化ネイション」は、日本文化の価値を高め、世界に広め、より多くの人にその良さを理解してもらう。その上で日本は文化の発信者としての地位を得る、という活動を信じる人の共同体である。日本文化が何であるかはここでは定義しない。食、芸術、観光、歴史、漫画アニメカラオケ・・・実に多彩である。そのどれもが日本文化たり得る。日本文化からの受益者はもちろん日本人と、日本文化によって精神的、物質的な利益を得る非日本人の両方である。

繰り返すが、そのようにして拡大された日本は、すでに世界のあちこちに登場しはじめている。そこかしこにある寿司バーから始まって、デュッセルドルフ、パリ、ロンドン、ニューヨーク、バンコクといった大都市には日本人街といえるものすらある。これらは日本人が何人もいると言うこと以外どのような意味でも日本国家や民族の一部ではない。しかし、誰がどう見ても日本文化圏の一部であることは間違いない。

残念ながら今、日本文化が一定の成果を出しているとはいえ、それは日本からの輸出によってなされたものばかりではない。むしろ日本のコンテンツ産業などは、優良なコンテンツを持ちながらあまり外貨を稼げているとは言い難い。個人的に日本人が文化を売る能力がないとは思わないが、

・日本は文化的に隔絶していた時期が長いため、他の文化と差異が大きい。

・特に欧米には異文化に対して、自分たちの文化を浸透させるノウハウがある。

という2つは非常に大きく、どうしても外国に対して出遅れがちである。ここを何とかしなければならないだろう。

それゆえ、非日本人で、日本文化圏に共感を抱く人たちの立場が重要になる。彼らは日本と日本でないものの差をよく知っているのであり、その知識は文化を広める上で大 変に役に立つものである。

また、日本人としてできることとすれば、お互いの文化をより深く研究したり、プレゼンテーション手法を研究したりするなどして、日本文化をより良く説明できるようにすること。観光推進や発信方法の改善により、日本文化を世界の人に発信して知ってもらうこと。そして、それを経済と結びつけることによって、文化を広めることによって発生する互恵的な正のフィードバックループ(あるいはエコシステムと言うべきか)を作ることである。ただし経済的には「黒字である」を是としても「飽くなき利潤の追求」からは一歩下がることになる。この仮説では、あくまで経済は文化浸透に対する従属要素であるべきだからだ。

そして何より重要なのは、日本文化と称するものに絶え間なき改善を加え、良いものは外国からどんどん取り入れることである。例えばみんな大好きカレーライスとハンバーグだが、これらはいずれも西洋発祥であり、我々が取り入れた結果である。また悪い側面があるなら、注意深く除いていくことも当然必要である。そうやって「日本文化」を魅力的なものにしつづけなければならない。ただし、改善を加えていくと言うことは、時代にそぐわない古き良きものをなくすと言うことではない。そういったものは古いものとして認識し、日本人だけのところでそのまま残しておけばいい。日本文化圏の非日本人だって、別に自分たちの民族や国家の有り様を捨てるわけではない。

だから今回、題名として「日本」(日本の日本語表現)”JAPAN”(日本の英語表記)から”NIPPON”という、日本語だが、世界のデファクト スタンダードになりつつあるローマ字表記で書く、という表記にした.それは、いまある我々から見た日本を尊重しながらも、世界 に対しても自ら歩み寄っていき、高次のよりよい文化を世界に提示しよう、と言う意味である。

文化圏というのは、文化が健全なら自然に発展していくものであり、敵は少なくない。すでにアメリカがこの点ではリードしているし、中国も韓国も追い上げている。しかし、アメリカ文化はまさにアメリカそのものであり、イスラム圏社会では反発も受けた。その点日本の文化は特に明治以降あらゆるところからどん欲に取り入れた、すでに少なくともアメリカよりは折衷型に近いものになっている。特に食文化については本当に節操がないぐらいであり。西洋と東洋の中間という絶好のポジションにいる。日本で非日本人が重要になるように、世界で重要な位置を占めているのではないか。

鎖国を真剣に考えるような人にとっては、これは荒唐無稽かもしれない。しかし、長い歴史の中で、われわれは間違いなくそれに相当することを成し遂げてきた。戦国時代の日本人に、20世紀を想像することはとうてい無理なように、一見無理に見えるだけである。ただ、少し急いだ方が良いかもしれない、とは思う。日本はようやく日本人街をぽつぽつと作ってきたが、中華街は世界中どこにでもある。うかうかしていると、世界が全部中国かアメリカ文化圏になってしまってガラパゴス日本は消えゆくのみになってしまうかもしれないのだ。

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