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- 2017年08月21日 08:44
忍者の人手不足問題と獣医師 - 増沢隆太(人事コンサルタント)
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景気回復実感がないという巷の声が少なくないまま人手不足が続いています。建築関係やサービス、流通業界の人手不足は深刻で、少子化という構造も相まって先行きは不安です。そんな中、衝撃のニュースが。忍者のなり手が足りないとのこと。忍者人材の獲得は、今話題の人材供給の問題にもつながるのです。
この忍者不足問題は、産業界の人手不足問題の核心だといえます。忍者かどうかはどうでも良いですが、「人が集まらない」「人を採れない」問題の構造は見出せるといえるでしょう。すでにそのニュースの中でふれられています。
「厳しい修行や不安定な所得」を嫌って人が集まらない。これは人手不足な産業や企業の原因そのものです。労働条件は給与と職務で決まります。その両方に問題があるなら、人が集まらないのは当然です。
正確なマーケティング理論の説明は省略しますが、マーケティングの世界では元々作り手、工場生産を土台とするプロダクトアウト(製品ありき)が主体だったものが、買い手である市場や消費者ニーズを土台とするマーケットインに移りました。しかし一般的な人事政策では会社の都合が第一で、雇われる側の事情は二の次三の次になりがちです。
人が雇えない理由は実はシンプルで、労働条件が悪いからです。もっと突き詰めれば給料が安いからともいえます。これでは実もフタもない結論ですが、実際これ以外に理由があるとは思えません。もちろん「ウチは地域でも高い方だ」「最低賃金などはるかに凌駕する待遇」「何より社員にやさしい職場作りを心がけている」という企業はたくさんあります。しかしそれらはすべて「雇う側の都合」であって、雇われる側はその労働条件に納得していないから応募が減り、結果として雇いたい人を雇うことが難しくなるのです。
標準賃金や相場などはもちろんありますが、人間は標準や相場で動くのではなく、個人の価値観や感情で動きます。給与についていえば、産業構造や法的規制もあって、必ずしも企業は一方的に利益を独占している訳ではありません。しかし人が集まらないといっている場合、こうした労働者側の価値観を読めていないといえるでしょう。
しかしここでも雇う側の一方的都合だけではもはや立ち行きません。雇われる側は自分自身でモチベーションを決めるのです。やはり究極はお金にならざるを得ないでしょう。人は趣味や娯楽として、お金をもらうどころかわざわざお金や時間を使ってまで作業をします。スポーツ好きな人は誰の命令でもなく練習したり、試合したり、ゴルフコースに出たりして、喜んでお金を払います。
「誰の強制も受けず自分で決めること」これがモチベーションの源泉でしょう。それを提供できるならば、給与という現金化額が少なくとも働きたい人はいることになります。雇う側が設定した福利厚生も、市場性を鑑み働く人によってその価値評価は異なるのです。独身者に子育て支援は響かないし、リストラ実績があるのに永年勤続報奨制度に意味はありません。労働者のマーケットニーズこそ重要です。
■忍者が足りない
先日日本テレビはじめ、各種ニュースで「忍者が日本各地で深刻な人手不足」という報道がありました。もちろん忍者といっても各地にあるテーマパークや忍者村など、観光客向けのアトラクションのことです。そこそこけっこうなブームで客足も伸びているにもかかわらず、厳しい修行や不安定な所得のため、忍者のなり手がいないそうです。この忍者不足問題は、産業界の人手不足問題の核心だといえます。忍者かどうかはどうでも良いですが、「人が集まらない」「人を採れない」問題の構造は見出せるといえるでしょう。すでにそのニュースの中でふれられています。
「厳しい修行や不安定な所得」を嫌って人が集まらない。これは人手不足な産業や企業の原因そのものです。労働条件は給与と職務で決まります。その両方に問題があるなら、人が集まらないのは当然です。
■マーケティング発想を人事政策に
私は人事コンサルタントを名乗って長年仕事をしていますが、元々人事出身ではなくマーケティング出身です。マーケティングや営業政策において、今どき市場を無視したものは考えられません。しかし人事など管理分野においては、そもそも市場という発想をすること自体少ないと感じています。正確なマーケティング理論の説明は省略しますが、マーケティングの世界では元々作り手、工場生産を土台とするプロダクトアウト(製品ありき)が主体だったものが、買い手である市場や消費者ニーズを土台とするマーケットインに移りました。しかし一般的な人事政策では会社の都合が第一で、雇われる側の事情は二の次三の次になりがちです。
人が雇えない理由は実はシンプルで、労働条件が悪いからです。もっと突き詰めれば給料が安いからともいえます。これでは実もフタもない結論ですが、実際これ以外に理由があるとは思えません。もちろん「ウチは地域でも高い方だ」「最低賃金などはるかに凌駕する待遇」「何より社員にやさしい職場作りを心がけている」という企業はたくさんあります。しかしそれらはすべて「雇う側の都合」であって、雇われる側はその労働条件に納得していないから応募が減り、結果として雇いたい人を雇うことが難しくなるのです。
標準賃金や相場などはもちろんありますが、人間は標準や相場で動くのではなく、個人の価値観や感情で動きます。給与についていえば、産業構造や法的規制もあって、必ずしも企業は一方的に利益を独占している訳ではありません。しかし人が集まらないといっている場合、こうした労働者側の価値観を読めていないといえるでしょう。
■モチベーションは現金化
人は給料だけで働くわけではないのは当然です。ただ、私のいう「給料」とはお金だけを意味するものではなく、報酬としての金額やその職務への意欲、モチベーションなど総合した対価を指しています。給料の金額は低くてもやる気満々で仕事をしている人はいくらでもいることでしょう。しかしここでも雇う側の一方的都合だけではもはや立ち行きません。雇われる側は自分自身でモチベーションを決めるのです。やはり究極はお金にならざるを得ないでしょう。人は趣味や娯楽として、お金をもらうどころかわざわざお金や時間を使ってまで作業をします。スポーツ好きな人は誰の命令でもなく練習したり、試合したり、ゴルフコースに出たりして、喜んでお金を払います。
「誰の強制も受けず自分で決めること」これがモチベーションの源泉でしょう。それを提供できるならば、給与という現金化額が少なくとも働きたい人はいることになります。雇う側が設定した福利厚生も、市場性を鑑み働く人によってその価値評価は異なるのです。独身者に子育て支援は響かないし、リストラ実績があるのに永年勤続報奨制度に意味はありません。労働者のマーケットニーズこそ重要です。
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