- 2017年08月19日 08:11
営利目的の病院を作るために使われている韓国の「特区」は日本の国家戦略特区と瓜二つ
1/2国家戦略特区について調べていて、韓国で同様の特区政策をとっていることを知りました。そこで、日本より一足先に二国間の自由貿易協定「韓米FTA」を発効している韓国に行き、その制度や影響について勉強してきました。
韓国の特区と日本の特区は、違うところもありますが、目的や、運用の仕方に非常に似ているところがあるうえ、政府の進め方にも共通するところが、ありました。
区域を限定して、国会ではないところ(総理や大臣ほか)に規制の改廃権=法令を変える権限を与えて、外国人のためにという名目で法令を変え、外国投資家に利益をもたらすところは共通しています。今回韓国で調査したのは医療ですが、韓国では水道教育も対象になっているそうですが、それも日本と同じです。
以下、受けた説明とどこが似ているか、合わせて報告したいと思います。
黒字部分は保健医療団体連合政策委員長 ウ・ソッキュン医師の説明。
青字は奈須。
韓米FTAは、韓国における特区「経済自由区域」の根拠法である「新自由経済貿易法」が制定された時から交渉が始まり、2012年に発効しています。
私は、日本において、特区は、自由貿易協定の国内法整備と位置付けてきましたが、韓国においても、自由経済区域法と韓米FTA は同時期に始まっており、この二つを関連付けてとらえています。
また、韓国では、韓米FTAにTPPと同じ未来留保と現在留保という二つの留保条項があることに注目し、これら二つの条項と特区とを次のように関連付けています。
未来留保条項:政府が規制改廃の権限を持つ
現在留保条項:規制緩和されると、あと戻りすることができない
アメリカも韓国も、自由貿易協定において、保険・教育・環境など重要な部分は全部未来留保条項に入っています。例えば国家産業・原子力も未来留保条項で、政府が規制の改廃の権限をもっています。
政府が権限を持っていると言っても限界があるというのです。
たとえば、韓米FTAにおいて保険医療の分野は韓国政府が定めます。
しかし、経済自由区域法・そして済州(チェジュ)自治法による地域において、薬局・病院については例外ということで、韓国政府が自由に定めることができなくなります。済州島、自由貿易区域に投資家が病院を設立し、韓国政権が変わって営利病院は必要ないと決めたとしても、ラチェット条項に抵触し、行った規制緩和を戻すことはできません。
こうした背景で韓国は、2007年に“経済自由区域法”が制定されました。
この経済自由区域法は特別法なので他の法に優先されます。経済自由区域特別法では、特区を定め、その地域では『教育・医療・環境・労働権』その他、様々な規制が例外とされました。
経済自由区域では、大統領や長官(日本の大臣にあたる)が単独で国会の許可を得る必要なく行政の告示によって地域を定め、規制することができます。韓国では、2006年以降、立法関連の問題について行政命令で定めるという形が強まっています。
日本の国家戦略特区も、国家戦略特別区諮問会議や区域会議、ワーキンググループなど、内閣総理大臣と一部の大臣、そして民間有識者が規制の改廃権限を持つ仕組みで、立法権が内閣府に移った形になっていて、似ています。
海外投資誘致を目的に、仁川・釜山・光陽の3箇所を特区としました。同時期に済州島特別自治法が制定されています。
経済特別区域法は、海外投資の誘致、済州特別自治法は済州を自治区域とすること、二つの法の内容はほぼ同じで、海外投資を呼ぶことを目的に制定されています。
経済特別自由区域は、現在仁川・釜山・光陽。当初は、そこに、外国人のための教育機関・外国人のための医療機関を外国人が100%投資する条件で許可しています。
また、韓国へ投資する企業の駐在員のための施設という説明で、外国人の医者が外国人を対象に治療すると説明されましたが、これは口実に過ぎず、その後5回に渡って改正されました。2007年というのはノムヒョン政権のときですが、その後のイ・ミョンバク政権では区域を6箇所に広げ、パククネ政権で2箇所増やし、全部で8箇所になっています。
特区は、ソウルを除外したすべてのドウに設置されました。広域市では、仁川・大邱・釜山市が含まれています。
当初は外国人対象、資本100%だったのが、パククネのときの最終改正で資本は50%で良いことになり、医師も10%が外国人であればよくなり、診療対象は外国人であれ、内国人であれ関係なくなりました。
構造改革特区では、地方分権だから地方に元の法の趣旨の範囲内で裁量権を与えよう、といった説明で始まりましたが、総合特区(東京都ではアジアヘッドクオーター特区)では、日本に来る外国人のためのということで、投資を呼び込む際の税財政優遇措置を始めます。
実際には、期待した雇用は生まれず、来ない外国人のためにと作られるインフラそのものが投資対象になり、そこに莫大な税金が投資家利益のために使われることになっています。
区域内に投資を呼び込み、そこで産み出された材は、海外へ売られていくというのが経済特別区の考え方ですが、特区の中で産み出されるサービスや財を買うのは、日本国内の住民と日本の政府や自治体(税金)です。
呼び込んだ投資により投資利益が国内に落ちるのではなく、特区が、呼び込んだ投資家のために、私たちが利益を提供する場になっているのです。
これも、同様のことが韓国でおきています。
韓国では、病院は、非営利病院でなければ設立の許可が下りませんが、特区では、医療法の例外措置により営利法人であっても設立できるようになりました。当初は、外国人相手に外国人なら金儲けしてよいという大義名分が、2017年、内国人に対象に金を儲けても良いとなってしまいました。済州島の自治法もほとんど同じ経緯を遂げ、韓国において3つの広域市を含めた10の医療病院が許可されています。
- 大田区議会議員奈須りえ
- フェアな民主主義を大田区から



