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痛みに寄り添うことの重要性  ~安倍政権の支持率は、なぜ急落したのか~

実に不思議だ。安倍政権の支持率は何故ここまで下がったのか。

3日の内閣改造で若干回復はしているが、朝日、毎日、時事の調査では、未だ危険水域の30%台であり、40%台を回復した読売、産経、日経の調査を含め、不支持率の方が高い調査が太宗だ。

つい先日まで「安倍一強」「来年の自民党総裁選は、安倍再選で決まり」「五輪開催時の総理は安倍さん」等の言葉が世に溢れていたのが嘘のようだ。

数日前に「立秋」を迎えたが、「釣瓶落とし」とも言われる秋の日のごとき支持率急降下を、先ほど「実に不思議」と書いた。が、「当然だ」と感じる方も少なくないと思う。その多くは、森友・加計両学園絡みの「エコひいき」疑惑が政権への国民的な不信を招いたと感じているのではないか。

ただ、これまでの議論・証拠から、また、霞が関勤務経験に基づく実感からも、役人の「忖度(そんたく)」はあったにせよ、総理自身がこれらの問題に直接関与たとは思えず、本来、政権の土台を揺るがす話ではない。

これら「大したことない」話がここまで注目されている背景も含め、より本質的な支持率急落の原因があると考えるのが筋であるところ、私の周囲で聞かれる仮説は以下の3つだ。

まず、よく出るのが「安倍は傲慢になりすぎた」というものだ。森友や加計は、一つの象徴との理解である。最初に本疑惑が出た際の強気の答弁(関係していたら辞める)や、いわゆる「共謀罪法」の強行採決、都議選応援演説の「こんな人たちに負けない」発言など、各種言動に慢心を感じ、国民的にお灸をすえたくなった、という解説だ。こうした声の影響か、最近は総理も低姿勢に徹している。

より構造的な解説は「安倍政権は、成長戦略(三本目の矢)や財政改革など、本質的課題に取組んでいない。北朝鮮ミサイル騒動の中で防衛省文書隠しなどもあり、国民は大いに将来不安を抱え、政権に不信感を持った」というものだ。森友や加計は口実との理解である。その影響か、改造内閣は実務家中心の手厚い布陣とし、消費増税は予定通りとか、獣医学部問題でも岩盤規制を本格的に壊すべく加計学園以外への展開も口にするなどの対応を見せている。

更に巨視的な説明は「安倍政権の“ドラマ”に飽きてきた」というものだ。初期は、五輪開催決定、大胆な金融緩和(一本目の矢)などが、中期は、一億総活躍、働き方改革などがある程度国民を魅了していた。それらに飽きてきた頃、間隙を埋める形で森友や加計が来た、という解説だ。政権の通底音の「憲法改正ドラマ」が尻すぼみな中、人づくり改革担当相を置いて新たな話題作りに努めているが、果たしてどうか。

話は変わるが、先日「(ジーサンズ はじめての強盗)」という映画を見た。年金生活者の3老人が、年金不払いや自宅差押さえ等の境遇の中、銀行強盗を思いついて実行するという、一見現実離れした映画だ。ただ、私はこの映画で初めて、トランプが何故大統領になれたのか、心から理解できた。

もちろん、文字として「トランプは、ラスト・ベルトの弱みに寄り添った」、「保護主義で、かつての米国製造業の栄光を取り戻そうとしている」等の解説は見ていた。ただ、やはり映像は雄弁で、トランプが寄り添っているのは、例えばこういう爺さんだ、ということがよく分かる。好悪や当為とは別に、こうした層が一定数、根雪のようにトランプを支えているのがアメリカの現実だ。

先述の安倍政権の支持率低下の3つの説明は、どれも正しいと思うが、私見では、支持率という面から見た安倍政権のより本質的課題は、相対的貧困等が増える中で「弱者に寄り添えるか」ということに尽きる。改革を進めつつも、弱者に寄り添う姿勢をどのように見せるか。これからが正念場である。

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