- 2017年08月18日 13:05
「雨傘運動」の若者に実刑判決! 北京政府に「忖度」した香港司法 - 野嶋剛
1/2高等法院の判決を待つ香港などのメディア関係者ら(筆者撮影、以下同)
香港が転換点を迎えていることを象徴する判決だった。
香港高等法院は8月17日、2014年の民主化要求デモ「雨傘運動」で活躍した学生リーダーだった若者たちに、違法な集会への参加や扇動を行ったなどの罪で、禁錮6カ月から8カ月の実刑判決を言い渡した。
判決を受けたのは、元立法会議員の羅冠聡氏(24)、香港の学生団体幹部の周永康氏(26)、そして、雨傘運動のときに高校生で一躍ヒーローになった政党幹部の黄之鋒氏=ジョシュア・ウォン氏(20)。3人は2014年9月、仲間たちと香港政府本部前の広場に柵を乗り越えて侵入し、警察官と衝突した罪に問われていた。
雨傘運動のきっかけの1つになったとされる重要な事件で、1審では、社会奉仕や執行猶予付きの有罪判決で、3人はすでに社会奉仕も終了させていた。しかし、香港政府が「判決が軽すぎる」と控訴していた。今回の判決は、羅氏が禁錮8カ月、周氏が禁錮7カ月、黄氏が禁錮6カ月だった。
3人と一緒に香港の民主化を求めて闘ってきた若者たちはこの日、高等法院に集まり、実刑判決が伝わると悲鳴があがり、涙を流した者も多かった。判決言い渡しの後、3人はすぐに収監され、香港の刑務所などに送られた。
抽象的な判決理由
前日までにメディアの取材に対し、すでに有罪判決を予想していた3人はこんな言葉を残している。
黄氏はいま通信大学で学んでいる途中だった。
「祖母からは監獄に入っても読書はしなさいと言われた。気持ちはまだ折り合いがつかない。人生の自由な時間をしばらく失うわけだから。1970年代の韓国や台湾、中国の劉暁波に比べれば、私たちのことは犠牲とは言えない。どの国でも民主への転換に際して、(誰も)刑務所に入らないで済んでいるところはない」
羅氏は、「政治に参加した時点で、入獄の危険があることはわかっていたが、こんなに早く事態が変わるとは思わなかった。みなさんは私たちの実刑を悲しまないで欲しい。このことをさらなるエネルギーにして社会の進歩につなげてほしい」。そして周氏は、「3年前に学生運動に加わった我々の世代には、この道を歩み続ける使命がある。収監されても若者の心をくじくことはできない。世界は必ず変わる」と語っていた。
彼らの清々しいまでの態度に比べて、高等法院の判決理由は、「香港には最近、法律が与えた権力を、自由や理想を追い求めるために使うという誤った風潮が広がっており、一部の知識人も含めて、違法行為によって目的を達成するスローガンで他人をそそのかしている」などと、およそ刑事事件らしからぬ抽象的な内容で、説得力に欠けたものだった。
確かに、政府に抗議するために、公的機関の壁を乗り越えることは違法である。それが罪に問われることは、ある部分ではやむをえない。その行為への代償として、第1審による判決は妥当なものだった。それを覆した今回の判決には、司法を超えた政治的な意味があると見るべきである。



