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攻撃の前触れは米市民の避難、米韓軍事演習前に探り合い - 佐々木伸 (星槎大学客員教授)

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限定攻撃も全面戦争と見なす

 国防総省はトランプ大統領の命令が下された時に即時対応できるよう、北朝鮮のミサイル発射への報復攻撃など幾つかの軍事的シナリオに沿って攻撃作戦の立案を完了している。

 米メディアによると、国防当局が攻撃作戦で最も腐心したことは「全面戦争に発展させることなく、ミサイル・核開発計画を無力化することができるかどうか」だった。しかし、ミサイルの発射台やミサイル格納施設、武器庫、核施設を狙う“限定攻撃”であっても、北朝鮮は全面戦争として報復対応する可能性が強い。

 その場合、北朝鮮が韓国へのロケット、ミサイル、越境攻撃に踏み切るのはほぼ間違いない。核による報復でなくても、生物・化学兵器を使う可能性もある。最初の1日で韓国側の約6万人が死亡するという専門家の試算も出ている。報復を受けるのは韓国だけではなく、日本の米軍基地や都市部も含まれることも十分あり得るだろう。

 つまり“限定攻撃”ですませたいというのはあくまでも米側の願望であって、金正恩氏は全面戦争と見なす恐れが強いということだ。圧倒的な軍事力の差を考えれば、米韓合同軍が最終的には勝利するのは確実だが、韓国や恐らくは日本も含めその代償は計り知れないほど大きい。

 しかし、ニューヨーク・タイムズが元将軍の発言として伝えるところによると、米側はこうした軍事作戦を立案する前にまず決断しなければならないことがある、という。それは韓国にいる25万人に上る米市民を国外に避難させることだ。特に北朝鮮からのロケット弾の射程距離にある1000万都市ソウルからどうやって事前に脱出させるかの計画が不可欠だ。

 また北朝鮮への先制攻撃は電撃的に実施されなければならないが、米国は攻撃後の北からの報復に備えて、韓国の防衛力増強のために火砲や艦船、部隊を増強する必要があり、そうした動きをすれば、攻撃が近いということを北朝鮮に察知されてミサイルが地下深くに隠匿されるなど攻撃の効果に支障が出かねない、という。

 逆に言うと、米国の攻撃の前には、米市民の避難や韓国への軍事支援の増強の動きが必ずあり、そうしたことが起きていない現状は米国の攻撃がありそうにない、と見ていいだろう。

 トランプ大統領は8日から「炎と怒りに見舞われる」「戦争の準備は整った」など今にも北への軍事攻撃が近いとも取れる挑発的な発言を繰り返してきた。しかし、これはロシア・ゲートなどで支持率が歴史的に低下し、国内で追い詰められた大統領が国外の敵に勇ましい言葉を連発して、支持率の上昇を狙ったという意味合いが強そうだ。

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