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牛乳石鹸「お父さん動画」の感想

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これに伴い、「望まれる男性側の認識」も変わりました。
家父長主義、男性支配など、前の世代の男性(女性)が当然視していた考えを手放すべき、という認識です。動画で提示される「家庭の良きパパ」には、妻との協調、子に寄り添う姿勢、といった要素が含まれるのだろうと思います。

主人公の世代で、社会が共有したこの認識の変化について、否定的に考える人はほとんどいないはずです。
現在、主人公を含む多くの男性は「家庭の良きパパ」としての役割についても認識しています。子供の頃から繰り返し見聞きし、学んできた価値観ですから(…実行面では、少なくない家庭が困難を抱えているようですが)。

それでも、主人公が考え、思い悩むのは、「社会が要請する、理想のパパの姿」と「(現代では到底容認できない)自分の父親」には大きなズレがある一方で、父親に対し、時代が違うなどと簡単に否定することのできない「愛情・憧憬」が存在するからだろうと想像します。

「親父が与えてくれたもの」は確かに、今も主人公の中で息づいています。「口数も少なく、不器用ながら、後輩を気に掛ける優しさ」もその一部なのでしょう。もっとも、今の時代、これは手放しで歓迎されるものでもないのかもしれませんが(家族との約束、妻への説明など…)。

この動画を見て私は、社会進出を周囲から後押しされた、初めの世代の女性が抱いたであろう「困惑」を連想しました。家庭を守る主婦である母を持つ彼女たちがイメージしたのは、男性のように働く自分の姿だったでしょうか。自分らしさ、女性らしさを職場で発揮するまでに、どのような苦労や紆余曲折があったでしょうか。

男性も家庭において役割を担うべきとされ、また男性自身も役割を担おうとする現代において、そこで発揮すべき自分らしさ、男性らしさを考える際にも、困惑は伴って当然なのかもしれません。「子どもに愛情を注ぎ、育てるにふさわしい父親像」に、取ってつけたロールモデルではいかにも不適切です。

フェミニズムの理論家、ベル・フックスは著書「フェミニズムはみんなのもの」において、次のように語っています。
男性を敵視する潮流はフェミニズム運動のなかでは少数派だったのだが、にもかかわらず、フェミニストとは男性を敵視する女性のことだという世間一般のイメージを変えることはむずかしかった。

私たちの理論が、男性がどんなことをすれば性差別的でないかを示すだけでなく、それでは性差別的でない男らしさはどういうものか、という問題に効果的に迫れなかった

家父長主義的でない男らしさとして提示されてきたビジョンは、しばしば、男性にもっと「女性的に」なれというものだった。

昔もそして今も、必要とされているのは、アイデンティティの基となる自分らしさを誇りに思い、愛することができるような、男らしさのビジョンなのだ
今の時代にふさわしい、そして自分らしさを誇りに思い、愛することができる「父親像」、「父親らしさ」というのは、一体どのようなものなのでしょうか。

夫婦はどの程度、価値観を共有することができ、またどの程度であれば、否定できない性差あるいは個性として、「理解できないながらも、尊重できる」のでしょうか。

牛乳石鹸のWEBムービーを見ながら、そんなことを考えました。

「石鹸は女性が購入するのだから、男性向けのWEBムービーに意味はない」といった意見を見ました。男性がメモに書かれた買い物リストに従ってタスクをこなすだけの立場でなく、家庭において自立して役割を担うのであれば、また「父親のあり方」が男性にとってだけではなく、家族が共有すべきテーマであれば、意味はあるのではないかと思います。

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