記事

終戦の日に日本の自主独立について考える

2/2

 経済についても同様で、冷戦期は日本の共産主義化を防ぐため経済発展、経済成長が後押しされ、更にアメリカ経済を支えるためにバブル経済まで創出されたが、用が済めば跡形もなく崩壊させられ、失われた20年が始まった。(詳細については水野和夫氏の新著『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』を参照されたい。)

 また、アメリカの核の傘とよく言われるが、それは冷戦期の話であって、冷戦が終われば核の傘はなくなったと考えたほうがいい。それ以前の問題として、中国は核保有国であるとともに軍拡を続けているし、北朝鮮は核を保有するのみならず、米国東海岸にまで到達しうるICBMまで開発し、保有するまでに至った。

この状況下で、米国が中国や北朝鮮と正面切って戦争をするなどということはおよそ考えられない。(8月14日に発表されたアメリカのティラソン国務長官及びマティス国防長官による共同声明からも明らかである。ホワイトハウスのサイトに全文が掲載されているので参照されたい。)そうなれば、核の傘は、西部邁先生の言葉を借りれば「破れ傘」であるに等しい。

 先の大戦でのアメリカの最終目的は、日本を「二度とアメリカに立ち向かうことができない程度に」破壊することであると述べた。そして戦後の対日政策も「二度とアメリカに立ち向かうことができない程度に」しておくことが基本方針であることについても指摘した。このことは、日本に自主防衛力、つまり日本に自分たちの軍事力だけで自国を守ることができる能力、これを持たせないということを意味する。

 日本で保守を自称する政治家等が、自主防衛力を保持することになれば莫大なコストがかかり現実的ではないのであるから、日米同盟を強固にしてアメリカに寄り添っていれば日本の安全は保障されると臆面もなく言うのを聞くことがあるが、それで保守を自称するなど笑止の沙汰である。自国を守ることができる能力を有する軍隊を持たないで国家の独立を確保することなど不可能である。まして他国の軍隊に守ってもらおうなどと、なんともお気楽な発想である。

(コスタリカは軍隊を保有しない国であるとされるが、常設のコスタリカ軍は存在しないものの、警察組織の能力が高く、有事の場合は一義的には警察組織による対処が想定されているようである。そもそも、米中露という3つの大国に囲まれ、かつ米中露朝という4つの核保有国に囲まれている日本と比較し、同様に考えるのは無理がある。)

各国はあくまでも各国の国益に基づいて行動する。冷戦期においては、確かに日本を東側陣営から守ることが米国の国益に繋がる面があったかもしれない。しかし、これまで指摘しているとおり、現在は状況が全く異なる。それにも関わらず冷戦期の発想から抜けられないし、それにしがみついていようとする、なんとも情けいない話であるが、これが日本の現状である。しかも、実態を知らないとか、気が付かないのではなく、どうやらつきつけられた現実に対して、単に目を背けているだけのようにしか筆者に見えない。

 そろそろ、日本は敗戦国であること、アメリカの開戦以降の基本方針は日本を「二度とアメリカに立ち向かうことができない程度」にすることであること、少なくともこの二つを直視し、認識し、自主防衛力の強化を含め、日本の自主独立を本気で考えるべきではないか。別にアメリカに報復戦争を仕掛けろと言っているのではない。アメリカは既に「世界の警察官」の地位から降りており、世界中で戦争を遂行する能力もないし、無駄な戦争をする気もない。トランプ政権になってからはなおさらそうである。

 先の大戦で失われた尊い命に報いるのであれば、8月15日は日本の自主独立を考える、それを始める、そのことを誓う日とすべきであろう。

あわせて読みたい

「終戦記念日」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。