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小中学校、組み体操 未だにやっているところなどあるの? 朝日新聞の報道がずれている 安全面が優先は当然のこと

 組み体操が全国でも採用が減少しています。問題になっていたのは人間ピラミッドです。6段、7段という危険な行為を心身未熟な小中学生に強要するもので、実際にも大けがをした児童生徒も少なからず生じさせている危険行為の強要です。

 実際にスポーツ庁が2016年3月に確実に安全な状態でなければ実施しないように自治体に通知もなされており、これでもなお実施している学校があるというのですから驚きです。
事故多発の組み体操、中学3割で「中止」」(朝日新聞2017年8月14日)
「事故の多発が問題となった運動会の組み体操。政令指定市などを対象に朝日新聞が調べると、2015年度に実施した小学校の2割、中学校の3割が16年度はとりやめた。中止が進む一方で、安全対策を強化して続ける学校も多く、現場の対応が分かれている。」
 もっともかつてのような6段、7段のようなものではなく、難易度を下げている場合も「続行」している学校に含まれているので、そのまま続行さている場合がどの程度あるのかははっきりとした数字ではわかりませんが、朝日新聞の報道では不明です。

 もちろん5段にすればいいというものではなく、6段ではなく5段でも危険性からいえば、6段がより危険というだけで5段でも危険であることに変わりありませんが。

 これだけ注意喚起がなされてもなお、「安全対策を強化」したとして続行しているのですが、ここでいう「安全対策を強化」の意味が問われます。

 朝日新聞の記事では、「教員の実技指導などの対策が進んでいる。」などと教員の対策が進んでいることが安全対策だという位置づけです。

 しかし、これでは落下を完全に防ぐことはできません。何と言ってもまだ心身未熟な小中学生が主体なのです。落下して死亡や半身不随などの後遺症が残ることもあるわけで、それを完全に防げないのであれば中止が当たり前のことです。怪我はつきものなどというのは暴論です。少なくとも、学校側が「無過失」でも損失についてはすべて補償するのは当然要求されることですが、その程度の覚悟があって実施しているのでしょうか。

組み体操(人間ピラミッド)の問題は「程度の問題」ではない 宮島繁成氏の見解を批判する

 この人間ピラミッドの問題は、指導する側が「完璧」であったとしても、その指導のとおり動かない、動けないのが心身未熟な小中学生だといことを前提にしているのかという点です。

 朝日新聞の記事は、「現場の判断 尊重されていい」などと論じています。
「安全と教育的価値との兼ね合いをどうはかるか。答えは一つではなく、それぞれの現場の判断が尊重されていい。根本的な問題は、科学的な根拠に基づく安全な方法を、教員が学ぶ機会が不十分なまま進められてきたことにある。」

「今回の調査結果を見ると、事故はまだ少ないとは言えない。専門家から教員が研修を受ける場が全国で増えているが、組み体操を続けるのであれば、こうした取り組みをさらに徹底することが求めらる」
 これは、あまりに無責任な報道です。人間ピラミッドの危険性の問題は、指導する側だけの問題ではありません。やらされる側の視点がすっぽりと抜け落ちています。小中学生は未だに未熟なのですから、指導されたとおりにできないことも当然に想定されなければなりません。

 私の中学生のときは、身体の大きさで順番に下から上へと積み上げられていましたが、身体が大きいからといって筋力があるということにもなりません。そういったことは個別事情は全く無視し、とにかく「実践」の練習をしてしまうのですから、危険は隣り合わせだったということです。

 しかも、落下しないような完全な対策が可能とは思えませんし、落下した場合でも軽傷で済むような対策が取れるとも思えません。実際に崩れてしまったときにそれを防ぐ手段は皆無なのですから、「安全」といっても最初から限界のある「安全」なのです。
 安全と教育の兼ね合いなどと言っていますが、安全が優先するに決まっているではありませんか。

 しかも、そこでいう「教育敵価値」があまりに抽象的です。

 朝日新聞は、このように紹介しています。
組み体操、様変わり 消える「タワー」「ピラミッド」」(朝日新聞2017年8月14日)
「安全のためにはやむを得ないとの声がある一方、みんなでやり遂げる達成感などの効果に着目して続ける学校もある。」
 関西体育授業研究会という団体が人間ピラミッドを絶賛し、そこでの教育として述べていたことは、次のようなものです。(現在のホームページには見当たりません。見解を変更したのでしょうか。)

リンク先を見る

 一読してずれていることがわかるものです。
危険な体育行事の事故 大人が誘発していないか 人間ピラミッド・武道

危険なことをさせて得られるものがあるのか?

 ここで言われているような「達成感」などは、他の種目などによっても十分、養うことができるものです。それは朝日新聞が上記記事で報じているとおりです。

 かえって、人間ピラミッドのようなものは、危険が隣り合わせだということで、より一層のドキドキ感があり、「強い」達成感がえら得るのかもしれませんが、これでは麻薬と一緒です。そのようなものが「達成感」であろうはずもありません。

 なぜ、そこまでして人間ピラミッドに拘るのか、普通の感覚では全く理解できないものです。
 一部の大人たちが自分の満足のために児童・生徒を動員し、身勝手な「達成感」を押し付けているというだけの構図であり、朝日新聞はそれを無批判に報じているものです。

 やらされる側の立場にたったら、人間ピラミッドなどたまったものではありません。

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