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【読書感想】特攻―戦争と日本人

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特攻――戦争と日本人 (中公新書)

特攻――戦争と日本人 (中公新書)


Kindle版もあります。

特攻―戦争と日本人 特攻 ―戦争と日本人 (中公新書)

特攻―戦争と日本人 特攻 ―戦争と日本人 (中公新書)

内容(「BOOK」データベースより)

第2次世界大戦末期、追いつめられた日本陸海軍は、爆弾もろとも敵艦船などに体当たりする特別攻撃=「特攻」を将兵に課した。当初は戦果を上げたが、米軍の迎撃態勢が整うと効果は低下。軍は特攻専用の航空機「桜花」、潜水艇「回天」なども投入する。だが大勢は挽回せず、敗戦までの1年弱の間に航空機だけでも4000人が犠牲となった。本書は、日本人特異の「戦法」の起源、実態、戦後の語られ方など、その全貌を描く。

 「特攻」について書かれた本は、これまでにもたくさん出ています。

 この新書、内容的には、新事実や感動的な秘話が明かされているというわけではありません。

 僕がこれまで読んだ「特攻」関連の本のなかでは、純粋に軍事的な意味での「特攻」とその「戦果」が紹介されており、情緒的な記述は抑えめになっている印象を受けました。

 「特攻」というのは「100%死ぬ作戦」というか、「搭乗員が死ぬことを前提とした作戦」なわけで、それが、これほど大規模に行なわれた例は、太平洋戦争後期の日本軍が最初です。

 その後も、ひとつの国の正規軍全体がそういう作戦をこれほど大規模に推進した例はありません。

 いかに戦争中といえども、「死んでこい」という命令はめったに出されるものではない。後に続く兵士の士気は下がるのが当然であり、その後の戦争行為遂行能力が低下するのは必然だからである。第二次世界大戦末期、大日本帝国陸海軍はしかし、そのことを組織的に兵士に課した。「特別攻撃隊」(特攻)である。爆弾もろとも敵の艦船などに体当たりするこの戦法は、1944年10月のフィリピン戦線から翌45年8月の敗戦まで行なわれた。

 人間=兵器である特攻は、「九死に一生」どころか「十死零生」の作戦であった。

 典型は特攻専用に開発された人間爆弾「桜花」である。二トン爆弾にエンジンがついた構造。車輪はない。一度出撃したら生還はほぼ不可能であった。

 こうした特攻は、米軍にとって信じがたい作戦であり、予想していなかった。このため、当初は大きな戦果を挙げた。しかし米軍がレーダー網を駆使して迎撃態勢を整備した結果、特攻機は目的とする敵艦船に突っ込むどころか、付近に到達することさえ難しくなった。

 敗戦までの1年足らず、航空機による特攻だけでおよそ4000人の若者が死んだ。さらに、本書が明らかにしていくとおり、実際は海軍艦船などによる「水上特攻」も行われ、航空特攻に匹敵する若者が死んだ。

 特攻第一陣を送り出した海軍中将、大西瀧治郎でさえ「統率の外道」と断じたこの作戦はなぜ、いつ、誰によって始められたのか。誰が推進したのか。どんな人たちが選ばれたのか。何人が死んだのか。戦果はどれくらいあったのか。推進者たちはどのように責任をとったのか、とらなかったのか。そしてその特攻は、戦後の日本、今日に至るまでどのように評価されてきたのか。

 命令した側でさえ「統率の外道」と言っていたこの作戦はどのようにして成立し、続けられていったのか?

 そもそも「特攻」が選択されるような戦況では、すでに「まともに戦う力がない」にもかかわらず、なぜ、そこから1年近く戦いを続けたのか。  

 (2014年10月25日)午後10時45分、「敷島隊」は「タフィー」部隊に襲いかかる。空母「セント・ロー」に一機が体当たりし、飛行甲板を貫通、炎上した。さらに魚雷と爆弾に引火し、7回にわたり爆発、30分足らずで沈没した。

 別の一機は旗艦空母「キトクン・ベイ」に体当たりを試み、果たせなかったものの爆弾が炸裂し、被害を与えた。さらに空母「ホワイト・プレーンズ」に向かった一機も、体当たりは失敗したが「至近弾」となり、機体の破片などで乗組員11人が負傷した。

 敵艦隊を攻撃する正規空母が全長200メートル以上、80機前後を搭載できるのに対し、護衛空母は文字通り艦隊の護衛、支援が主な役目である。おおむね150メートル前後、30機ほどの搭載である。

 レイテ沖海戦で、戦艦「大和」以下の栗田艦隊は米護衛空母艦隊を執拗に追いかけ、ようやく空母一隻、駆逐艦三隻を沈めた。代償に重巡三、駆逐艦一隻を失った。

 敷島隊は、栗田艦隊よりはるかに少ない犠牲で、同じく米護衛空母を撃沈した。またマリアナ沖海戦では日本の機動部隊が500機近くで正攻法の攻撃をしかけながら、一隻も沈めることができなかったことを考え合わせると、この時点での特攻の威力は驚異的であった。

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