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【読書感想】新編 山小屋主人の炉端話

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 私は長じて無事に学校を出て勤め人になり、土日になると、山小屋に行って手伝った。その頃、父はときどき、「最近、登山者の質が変わった。危なくて見てられない」と愚痴るようになった。それは昭和55年に南アルプス・スーパー林道が開通したため、気楽にやってくる登山者が増えたからだった。嫌なら山小屋をやめればいいと思ったが、父は「しかし、そんな人はほんの一部でうちの山小屋を頼りに来る人のほうが多い。その人のために簡単にやめられない」というのだった。

(中略)

 しかし、実際に二代目になると、忙しいときは目が回るくらい忙しくて、やっぱり勤め人をやっていたほうがよかった、と思ったものだ。まして南アルプス・スーパー林道が出来てからというもの、それまでの山男、山女から観光気分でやってくる中高年が増え、「風呂はないの」、「個室はないの」などと山の事情を知らない人が多くなり、先が思いやられたものである。なかでも夜遅くなって平気で来る人には参った。道が出来たため南アルプスが簡単になったと誤解する人が来るようになったのだ。単に北沢峠に入りやすくなっただけであって、山自体が簡単になったわけではないのである。

 それでも、前述の吉木さんも四年目に入った頃から、自然の良さや山小屋という仕事のやりがいに目覚めた、と仰っています。
 大変だけれど、一度ハマってしまうとやめられなくなる仕事でもあるようです。

 これを読んでいると、本当にいろんな人が山に登りにやってくるのだな、ということがわかります。
 盲学校の山岳部を迎えたときの奥秩父・三条の湯の木下昇さんの述懐。

「しかし、目が見えなくて山に登って何が楽しいんですかね……」
 そういったあと、しまったと思った。が、先生は苦笑しながらいった。
「景色は見えないかもしれないけれど、自然は肌で感じていると思います。風とか気温などで。いつも私は木や植物に触らせるんです。彼女たちは立派だねとか可愛いねといいます。目の見える人より敏感じゃないのかな。そう、彼女たちは目が見えないから何もできないのではなく、目が見えないだけなんです。それ以外は何でもできます」

 正直、僕は山に登っている最中も「蛇とかいない、よね……」と、おっかなびっくり周囲を確認してしまうくらい、「自然」が苦手なのですが、山にも良いところもあれば、悪いところ、危険なところもあるんですよね。
 それでも山には、代え難い魅力がある、というのも確かなのでしょう。
 まずは安全第一で、山には登ってほしい。
 でも、本当に安全第一だったら、「山に登らないほうが安全」なんだよなあ、うーむ。


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