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ゼリア新薬社員の自殺 争点の「意識行動変革研修」を受けた他社の社員「厳しい面があるのは確か」

ゼリア新薬工業の男性新入社員(当時22歳)が、研修中に精神疾患を発症して自殺し、労災認定されていたことが分かった。遺族は8月8日、同社や研修を請け負った人材育成会社、ビジネスグランドワークス(BGW)社などに損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。時事通信などが報じた。

男性は2013年4月にMRとして入社し、同月10日から12日まで人材育成会社の研修を受けた。その後5月17日までゼリア新薬側の研修を受講し、翌18日に自殺した。

東京中央労基署は、2泊3日の人材育成会社の研修で「強い心理的負荷があった」として2015年5月、労災と認定していた。遺族は2016年12月、東京簡裁に、同社や人材育成会社らを相手取り民事調停を申し立てたが、今年7月25日、不成立で終了していた。

研修中、吃音の吐露や過去のいじめの告白を強要された、と遺族側弁護士

ゼリア新薬工業の企業サイト
ゼリア新薬工業の企業サイト

遺族側弁護士によると、BGW社の研修では講師から、吃音や過去のいじめの吐露を強制された上、人格を否定するような言葉による指導があったという。

男性の吃音は、両親を含め周囲が気づかないレベルのものだったが、男性は研修参加報告書に、同期の前で指摘を受けたショックを「うまく言葉に表すことができません」と書き残すなど、指摘で受けた心理的負担は大きかったと見られている。

いじめに関しては、男性が過去にいじめられていた事実は認められておらず、弁護士は「過去の悩みを吐露するよう強く求められた上での発言であり、本人の自由意思に基づいた発言ではない」と、男性が真実ではない発言を強制されたと解釈した。

遺族側の資料では、過去に同研修を体験したことがあるゼリア新薬の新人研修担当者が

「指導員は終始きつい口調」「大きな声で命令口調」
「『バカヤロー』といったような発言も多少はあった」
「個人的にはもう受けたくない」

と振り返っていることが明らかにされている。

また、BGW社の研修が終わった後のゼリア新薬側の研修も

「宿泊施設内にほぼ拘束され、睡眠時間6時間確保できないような長時間に及ぶ研修をうけさせられており、その心理的負荷も著しく強いものがあった」

と指摘していた。心身ともに追い込む過酷な研修だったようだ。

一方、BGW社は先月7月28日、同社に損害賠償責任はないと主張し、債務不存在確認訴訟を東京地裁に起こしている。訴状では、いじめや吃音の暴露の強制、人格否定は行っていないと明記。男性の精神疾患の発症日が研修日から約3週間空いていることなどから、精神疾患の発症はゼリア新薬側の研修に原因があると主張している。

ゼリア新薬側の研修では、医学や薬学など、MR業務に必要な専門的な内容の学習が「予習復習等の準備も含めると土日も含めて休みもないような状態で行われて」いたという。男性が友人とやりとりしたSNSの文面からも、BGW社の研修時より負担を感じている様子も伺えた。

研修を受けた他社の社員「人前で発表するのが苦手な人は泣いていました」

BGW社のサイトでは、同社に研修の依頼をしたという製薬や食品メーカー、アパレルなどの大手企業十数社の社名が紹介されている。

キャリコネニュースでは、実際に同社の研修を実施した複数の企業に取材を申し込んだ。現在も新入社員の入社前研修として「意識行動変革研修」を導入している企業の人事担当者は、自身が受けた際の様子を振り返り、

「意識を変える研修ということで、通常の研修と違って厳しい面があるのは確かです。人前で発表するのが苦手な人などは泣いていました。罵倒があったかは覚えていませんが、特にこの研修が悪いという気はしませんでした」

と話した。今年4月にも研修を実施した他の企業の広報担当者も

「ビジネスマナー習得、チームワークの醸成、社会人としての自立を目的に実施しましたが、トラウマ告白の強要や罵倒などはありません。時間も、就業時間内に収めて実施していました」

と語った。

しかし、BGW社サイトによれば研修内容や日程・研修時間などは依頼企業と相談の上決定しているため、ゼリア新薬での研修と他社の研修は、同じ名称でも内容が異なる可能性もある。何より、研修の受け止め方は個人差も大きい。

BGW社の代表はキャリコネニュースの取材に対し、「私どもが頼んだ弁護士の言うことが全て。それ以外、お話はできません」と言葉を濁した。

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