- 2017年08月10日 15:51
【読書感想】プロ野球・二軍の謎
2/2この、至れり尽くせりのメジャーリーグに比べて、マイナーリーグはこんな感じだそうです。
しかし、マイナーはどうでしょう。基本的に試合後の食事は用意されていますが、質と量が、どんどん落ちていきます。もう栄養価なんておかまいなし。たとえば僕が所属していた2Aでは、試合前の練習を終えたあとに、ロッカールームに人数分のハンバーガーがどっかり置かれ、フライドポテトがざっと大きなトレイにあけられているというような状況でした。
まだ十分食べ盛りと言ってもいいような若い選手たちがそこに群がるため、僕が道具の手入れをしてゆっくり戻ったときには、ハンバーガーはすべて消え、フライドポテトの端っこのカリカリした部分だけが寂しげに残っている、というような有様。端っこ、嫌いじゃないですが、それだけでは悲しいものです。
キャンプのときは、「マイナー」はすべてひとくくりです。最下部組織のルーキーリーグも3Aも関係なく、昼食のときにポンと渡される茶色の紙袋に入ったサンドイッチとバナナやリンゴ、飲みもの1本(もしくは牛乳に溶かして飲むタイプの粉など)が食事のすべてです。メジャーの暮らしをまったく知らなければまだ我慢できるのでしょうが、一度その世界を知ってしまうと、この「紙袋ひとつ」に泣けてきます。僕がこういった経験をしたときはすでに30歳を過ぎていましたので、10代の若者と一緒に「食事」を受け取るときのむなしさといったらありませんでした。
日本では、二軍の選手も寮で質量ともに十分な食事を提供されています。
身体作りの一環として、食事もきちんと管理して、育成していく、という方針なのです。
こういうのを読むと「厳しい環境のなかで、這い上がってきた者を優遇する」というアメリカとは考え方が違うのだなあ、と思い知らされます。
田口さんは、多くの二軍の選手に欠けているものとして、試合に対しての「集中力」を挙げておられます。
たとえば試合中、その流れを見極め、「今日は自分がどの場面で、どんな役割を担うか」ということを想像し、準備しておくのは、プロ選手にとって最低限必要なことです。にもかかわらず、一人前になりきれていない選手には、自分がいつ代打で登場するかと読むことができず準備が間に合わなかったり、代走で出るはずの状況なのに、なぜか素振りをしていたり、といった「試合の流れを読み切れていない」ということが起こるのです。
こういった試合への集中力のなさは、出場した際のミスにつながります。それも、ゲームを決定的にひっくり返すようなとんでもないミスになるのです。野球の技術うんぬんの前に、こういった「試合に対する集中力」を養うために、二軍の選手は昇格・降格を繰り返し、その大切さを学んでいくのです。
どの球団にも「二軍では大活躍するのに、一軍に上がると結果を出せない選手」っていますよね。
そういう選手は、技術というより、こういう「試合に対する大局観」みたいなものが養えていないのかもしれません。
こういうのって、野球だけじゃないよなあ、と考えさせられました。
1969年生れの田口さんが、自分の子供くらいの選手たちに対して、感覚の違いを意識しながら「指導」することの難しさ(「理由なんて聞かずに、とにかくやれ!」みたいなのは、今ではまったく通用しないのです)や、中間管理職でありながらも、田口さんの「出勤・退勤時間」に周囲のスタッフが合わせてしまうことへの困惑などが率直に語られていて、「現役の二軍監督なのに、ここまで手の内を明かしても良いのだろうか?」と思いながら読みました。
もちろん、個々の選手やスタッフの悪口や批判を書いた「暴露本」じゃないですけど。
fujipon.hatenadiary.com
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