- 2017年08月10日 15:51
【読書感想】プロ野球・二軍の謎
1/2- 作者: 田口壮
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内容紹介
一軍を支え、一軍を目指すプロ野球の二軍。各チームに所属する約70名の「支配下登録選手」のうち、一軍登録された28名を除く最大42名の彼ら二軍選手は、どんな日々を送っているのか? 一軍の状況次第で急遽昇格することもあれば、二軍戦への出場機会ですら一軍選手に奪われることも。調整中のベテランと新人選手が入り交じり、「プロの厳しさ」を肉体的・精神的に学ぶ「二軍のリアル」を元メジャーリーガーの現役監督が解説。さらには、日米ファームチームの違いや二軍の試合の楽しみ方、監督ならではの苦労や裏話も満載。
プロ野球の世界には、テレビやラジオで中継され、スポーツニュースでも採りあげられる「一軍」だけでなく、一軍での活躍を目指す選手たちが所属する「二軍」があります(一部の球団は「三軍」も持っているのです)。
野球ファンであれば、贔屓のチームの「期待の二軍選手」くらいは把握しているかもしれませんが、
二軍というのは、球団のなかのどういう組織で、首脳陣はどういう意識を持って日々を過ごしているのか、というのは、なかなか伝わってきません。
この新書では、オリックスの現二軍監督である田口壮さんが、二軍の役割やスタッフの仕事ぶり、どういうことを考えて選手を指導しているのか、などを語っています。
プロ野球の「監督」といえば、全権を背負い、チームという世界を動かしているトップの人間というイメージがあります。しかし「全権掌握」がすなわち「独裁」ではなく、監督はあくまでもチームの一員として、全体の意見や方向性を鑑みながら意思決定していく立場のひとりです。
そんな中でも一軍監督はその方の持ち味なり、野球観をチーム作りに反映させていきますが、これが二軍となれば、仕事の核は「一軍の方向性を選手に浸透させる」「一軍と二軍の意思疎通を円滑にする」「一軍の戦力になる選手を育て、供給する」の3点となり、自分の意思・意見でチームの方向性を決める、ということはほぼありません。
僕は大学を卒業してそのままプロの世界に入ったため、サラリーマンの経験はありませんが、一般企業で働く友人たちの話から見えてくる「中間管理職」という立場が、もしかしたら二軍監督に一番近いものかなと想像しています。
二軍というのは、目の前の試合の勝利よりも、一軍で活躍できる選手の育成や調整を優先させる組織なのです。
とはいえ、「負けてもいいや」という意識で試合をするのではトレーニングとしての効果も落ちてしまうので、勝つことやチームプレーへの意識を保ちつつ、一軍のための組織運用をしていく、という難しさがあるのです。
田口さんはアメリカのメジャーリーグでも活躍してきましたし、キャリアの中で、マイナー落ちも経験されています。
日本のプロ野球選手の一軍と二軍に比べると、アメリカのメジャーリーガーとマイナーリーグの所属選手の「格差」の大きさには驚かされます。
メジャーリーグでは、クラブハウスに専用のコックがいて、ホームでの試合後には前菜からメイン、デザートまで用意されており、2016年までは、遠征先でも「ミールマネー」という食事代が1日1万円支給されていたそうです(2017年からは3000円に減額)。
ちなみに、日本のプロ野球チームの公式戦では、遠征先ではホテルに食事が用意されていますが、ホームゲームでは食事は出ないのだそうです。
これは、日本では「家に帰って食べたい」という選手が多いからなのだとか。
アメリカの場合は「食事の準備の負担を減らし、ホームゲームの日は家族で過ごす時間を増やす」という目的もあるのです。
家での食事の準備や一緒に食事をする時間を含めて「家族で過ごす時間」と解釈するのか、「それは家事労働を増やすことで、一家団欒にとってはマイナス面が大きい」と考えるのか、日米の考え方の違いがあらわれています。





