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逮捕されるまで―空白の2年7カ月の記録、市橋達也

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イギリス人の英会話講師リンゼイさん殺害事件の被疑者である市橋達也の逃亡記です。市橋は(ほぼ確実に)殺人犯であり、全く同情の余地はありません。被害者や被害者の遺族の気持ちを思うといたたまれません。この本は市橋が拘置所の中から幻冬舎の編集者と書き下ろしたものです。

(事件のことはこの本には書いておらず僕の勝手な推測ですが)市橋は部屋にやってきたリンゼイさんと性行為に及ぼうとして、激しく抵抗され、何らかのはずみで殺してしまったのでしょう。その後、警察に指名手配され日本全国を2年7カ月も逃げ回り、とうとう逮捕されるまでの話です。最初の数日は何も口にせずに、長距離列車の中のトイレに隠れ、無賃乗車をして逃走します。その後、公園でホームレスと生活したり、コンビニの残飯を食べたりして生き延びます。沖縄に逃亡したときは、浜辺で魚をとったりします。魚の血を水分を補給するために飲んだりします。顔を変えるためにホクロをカッターナイフで自分で切り取ったり、鼻を自分で縫ったりします。

しかしそれからは日雇いの仕事をなんとか見つけて、お金を稼ぎ始めます。住所もないし、当然身分証明書もないし、銀行口座もありません。野宿をしたり、ネット・カフェで寝たりします。それでも様々な日雇い仕事をしながら、整形手術をするお金を稼ごうとします。稼いだ現金は肌身離さずに身につけていたウエスト・ポーチの中に貯めました。結局のところ整形手術を受けるときに、市橋容疑者に気づいた医師に通報され、それで足がついてしまうわけですが。捕まったときには、逃亡開始の時はほぼ無一文だったのに、100万円ほど貯めていたようです。

今の日本は、こんな住所なし、身分証明書なし、銀行口座なしの条件でも、これだけ仕事があって、これだけのお金を貯められるのです。最近は、大学生の就職先がないとか、派遣切りがかわいそうだからといって、マスコミはすぐに政府に何かしろといいます。中高年が会社を解雇されたらかわいそうだからといって、正社員を法的に過剰に保護しようとします。格差が広がってかわいそうだから貧乏な人にもっと所得を再分配しろといいます。

僕は甘えるなといいたい。自分でなんとかしろといいたい。やっぱり日本のような先進国で、曲がりなりにも資本主義国家に住んでいて、貧乏というのは心の病気画像を見るなんだと思います。

この本の印税はリンゼイさんのご遺族への賠償金に当てられるそうです。

リンゼイさんのご冥福を心より祈ります。

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