- 2017年08月08日 14:37
働き方改革は「休み方改革」だ。労働時間を減らすより、個人が休みを実感できる方が大事──星野佳路×青野慶久
3/3個人ができる「働き方改革」。まずは休みを計画するところから
「働き方改革」や「休み方改革」について、個人ができることって何でしょうか?
みんなもっと能動的に休むべきだと思います。いつ、何日休んで、休みの間に何をするのか、どこへ行くのか考えて、休みの計画を立てるべきだと。
星野リゾートの社員は、ベースの勤務体系はシフト制です。同じルールの中で、1度に20日ぐらい連続した長期休暇を取る社員もいれば、「休みにくい」となかなか休まない社員もいる。その違いは、本人が主体的に休みを計画しているかどうかだと感じます。
休暇を計画的に取れるかどうか。星野さん自身も、年間60日は世界各国でスキーをしているんですよね。どうやって休んでいるんですか?
とにかく、半年ごとのスキーの計画を立ててしまうんですよ。例えば、1、2月は日本の雪が一番いいので、日本で滑る。3月になると、日本の花粉症がツラくなるのでヨーロッパに行って滑る。7月は中旬過ぎると南半球の雪質が安定してくるので、ニュージーランドやオーストラリアで滑る。ニュージーランドと日本では3時間の時差がありますから、朝から夕方4時まで滑ると、日本時間の午後1時。そこからオンラインで定例会議に参加するわけです。
時差まで考慮した完璧なスケジューリングですね(笑)。

今は、仕事よりスキーの優先順位が高いですから(笑)。仕事は70歳過ぎてもできるかもしれませんが、スキーは足腰がしっかりしている今のうちしかできない。
わたしが死ぬときに「もっと仕事をすればよかった」という後悔はしない自信があるんです。でも、「もっとスキーをやっておけばよかった」という後悔は必ずすると思う。だから、スキーのためにスケジュールを組んでいます。
休暇の計画、権限移譲を通じて、自分の仕事の価値はどこにあるかを考える
休暇を取るコツは、とにかく休みのスケジュールを決めてしまうことだと。日本人は仕事や勉強の計画はよく立ててきたかもしれないですが、「休みの計画」は確かに考えない人が多いかもしれません。
あとは、権限委譲ですね。仕事を人に任せるようになりました。これが、会社にとってもいいことだったと考えています。
以前は業務を抱えこんで、全部自分が見なくてはいけないと思っていました。結果的に休みを削ってでも仕事をしてしまうわけです。
なるほど。
そこで、まずは自分の働き方改革として、「本当に自分にしかできないことは何か」を真剣に考えました。わたしが経営者として星野リゾートにいることの付加価値はどの部分なのか。その部分に集中して、それ以外は思い切って人に任せていくようにしました。今やっている仕事の中にも、きっと人に任せられるものがあるはず。もっと権限委譲は進めていきたいですね。
休みを主体的に計画的に取ることが、自分の仕事の価値について真剣に考えるきっかけになったんですね。

今、国が「残業を削減しなさい」って言ってますが、無理やり残業させられている人ばかりじゃないと思うんですよ。残業しないことを怒られる時代でもない。会社は「残業は減らせ」と言っている。それなのに、なんとなく自ら残業しちゃっている人もいると思うんです。
そうかもしれません。
国が強制的にルールを守らせないとならないような体質の企業が一部あるにしても、多くの人は、自分次第で休みを取ったり、労働時間を短くしたりできるはず。画一的なルールで外から無理やり削ろうとしているから、ひずみが生じたり、生産性が上がらなかったりしている。
「働き方」と「休み方」はあくまでもひとつの車の両輪ですね。片方だけをやろうとしてもバランスが悪くなってしまう。ただ、なかには「自由な時間にやりたいことがなくて仕事するしかない」という人もいますが、そんな人はどうすればいいと思いますか?
みんなスキーを始めるといいですよ(笑)。
ははは(笑)。星野さんをそこまで魅了するスキーの魅力って何ですか?
いろいろありますが、いちばんは非日常の世界に身を置く解放感ですね。リフト券を買うだけで、標高2000メートルまで簡単に行ける。日本各地の素晴らしい雪山を楽しめる。特に、昔やってた人は、もう一回始めるといいと思いますよ。
空いているときに行くと、まただいぶ印象が違うんでしょうね。
先日雪山で出会った人が、「年間200日は滑っている」と言うんです。それを聞いた瞬間「わたしは年間60日しか滑っていない、まだまだだ!」と思いました(笑)。もっとスキーをするために、次の休みを計画しなきゃいけませんね。

ライター:玉寄麻衣+ノオト/カメラマン:小野奈那子



