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介護と愛情――ACジャパン広告学生賞の作品を見て

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 渡辺ペコ『1122(いい夫婦)』1巻(講談社)には、故人となった父に暴力をふるわれ、それに何も抗しなかった母を半ば憎み、半ば「かわいそう」と思う主人公の女性(いちこ)が登場する。

渡辺ペコ『1122』1巻 - 紙屋研究所

母だって

ずっと

やさしくなんか

してくれなかった

のに

わたしが

大人になって

向こうが弱った

からって

やさしく

なんか

できないよ

わたし

あの人の

介護なんか

できない

今だって

殴りたく

なるんだもん

 主人公の夫(おとやん)は「やんなくていいよ」と声をかける。

 「やらなくていいのかな……」と不思議そうに戸惑う、いちこ。おとやんはいちこの肩を抱きしめながら提案する。

そういう

ときが

きたら

いちこちゃんが

辛(つら)くならない方法

考えようよ

俺もいるし

 「辛(つら)くならない方法」とは、家族介護ではなく社会サービスとしての介護を利用することだろう。

 憲法13条にもとづく個人の尊厳を守る。そのために憲法25条にもとづいて国はお金を出す。それが公的な介護である。

 子どもが親をどう思っていようが、老後の尊厳が守れるようにしたい。

 ぼくがこんなにいつもハラハラ思っている娘は、ぼくのことなどなんとも思わず、大人になればもう家に寄り付かないかもしれない。それどころか、反発して絶縁状態になるかもしれない。

 しょうがないよね、別の人格だもの。

 娘に依存しない老後。

 愛情と介護は、手を切った方がいい。

 愛情による介護は否定しないが、場合によっては愛情を根拠に介護を求めることは暴力的でもある。

 この学生の広告が、広告として人の情動を揺さぶったことは間違いない。ぼくは泣いたのだから。だから広告としてとてもよくできている。

 他方で、政治的な公正さから、複雑な思いも抱いた広告であった。

 悪いとはおもわない。この間、『ゆらぎ荘の幽奈さん』問題で感じた、「創作とポリコレ」の応用問題の一つなのだ。

「ジャンプお色気騒動」に思う - 紙屋研究所

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