- 2017年08月05日 14:01
宮下公園解体 企業の金儲けに公共財提供する行政
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古木が切り倒される光景は開発に付き物だ。道行く人が涼をとった木陰が消えていった。=1日、渋谷区 撮影:筆者=
チェーンソーが唸りをあげて古木を切り倒し、ユンボがグロテスクな巨大アームでつかんでいった。真っ白な切り株が無残だ・・・
渋谷区が1日から宮下公園の解体を始めた。半世紀余りにわたって人々に親しまれてきた宮下公園は、ホテルも入ったショッピングモールに生まれ変わる。オリンピック前年の2019年、開業予定だ。
3階建てのショッピングモールは三井不動産が運営し、地主である渋谷区は賃貸料を得る。一見ウィンウィンの関係に見えるが、そうだろうか。
憩いの場でもあり安全な避難場所でもある公園を奪われる市民は大損である。
「新・宮下公園」が設けられるのはビルの最上階だ。まるで「申し訳」のように。
2月13日の渋谷区都市計画審議会では委員の一人から「こんな高い所にある立体公園は見たことがない。きょうは結論が出せない」と意見が出た。この日、出るはずだった答申は見送られたのだった。
区民からのパブコメでも「なぜ高い所に公園を持って行くのか?」「なぜ三井不動産なのか?」など否定的なコメントが8割を占めた。
そもそも公園は災害時の避難場所なのに、なぜビルの最上階に設けるのか? 安全に避難できるのだろうか?
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解体工事初日、宮下公園はまだ原型をとどめていた。=1日、渋谷区 撮影:筆者=
渋谷駅から歩いて5分ちょっと。原宿も徒歩圏内。人気スポットを開発業者が見逃すはずがない。宮下公園にはカネの匂いがついて離れなかった。
2010年、渋谷区はナイキパーク建設のため、宮下公園に警察官とガードマンを大量に投入し野宿者を強制排除した。
裁判所は野宿者の強制排除は違法であると判決を下した。そればかりか、ナイキとの契約は議会の承認を得ておらず地方自治法に違反するとした。判決は確定している。
話を商業ビルに戻そう。今年3月、渋谷区は都市計画審議会の答申を経ずに宮下公園解体の準備作業に着手した。公園を壁で囲い込み使用停止にしたのである。事実上の着工だ。
「違法ではないか」と問うと渋谷区は「利用者の安全が確保できなくなるから」などと訳の分からない言い訳をした。
司法さえ恐れぬ渋谷区の手法は明らかに強引だ。司法を支配下に置く安倍政権と相似形である。
地方自治体のオール与党化は進む一方だ。行政に対するチェック機能は著しく低下した。オリンピックの美名の下、公共財産の供出に歯止めが利かなくなる恐れはないだろうか。
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「施行・竹中工務店」。巨大ゼネコンが潤うのと引き換えに人々の憩いの場はなくなる。=1日、渋谷区 撮影:筆者=
〜終わり~
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