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"サングラス"を禁止する甲子園の時代錯誤

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■「原因は『オシャレ』ではないか」

特例であれば、70~80人の部員の中でサングラス姿は伊藤さんの娘だけになる。当然ながら目立つ。結局、周囲の目を気にするあまりサングラスの着用をためらいがちになり、ついには部活への熱意も失ってしまったという。伊藤さんは「部員全員にサングラスを認めてくれればこうはならなかったに」と今でも残念に思っている。

伊藤さんのケースは決して例外ではない。部活動の行き過ぎなど「学校リスク」を研究し、著書に『ブラック部活動』(東洋館出版社)などがある名古屋大学大学院准教授の内田良氏は「部活動で子どもの健康を第一に考えていない学校は多い」と指摘する。

「帽子はともかく日焼け止めやサングラスとなると、いちいち文書を出して許可を取らなければ使用できなくなる。ゴーグルやラッシュガード、サポーターなどでも問題の根っこは同じ。子どもの健康を優先すべきだというのに、前例を踏襲しているだけで思考停止になっている。そもそも『許可』にどんな根拠があるのでしょうか」

なぜ学校側は抵抗するのか。内田氏は「原因は『オシャレ』ではないか」とみている。日焼け止めは一種の化粧品であり、サングラスはファッションであるから、教育の場にはふさわしくない――こんなロジックがあるというのだ。同氏によれば、部活動で日焼け止めを禁止している学校もあるという。

■子どもの健康とオシャレ禁止、どちらが大事?

子どもの健康よりも「オシャレ禁止」のほうが大事なのだろうか。

ここで思い出されるのが高校野球だ。事実上の丸刈り強制や派手なユニフォーム禁止などが象徴するように、オシャレとは最も縁がない世界に見えるからだ。しかも国民的な行事でもある「夏の甲子園」は炎天下で開催される。

夏の甲子園が始まると、大人たちは「青春」「汗と涙」「すがすがしい」と大喜びする。炎天下にもかかわらず全力で疾走する球児の姿を見て感動する。まさに一大エンターテインメントだ。だが、かねて「猛暑の中でのプレーは問題」との声もある。子どもたちの健康を犠牲にして成り立つエンターテインメントであるならば、変えていくべきである。

とりあえずサングラスを全面解禁してみたらどうだろうか(現状では球児は主催者・審判員から事前に使用許可を得る必要がある※)。長髪と派手なユニフォームを制限しているからサングラスだけ解禁するわけにいかない? ならばいっその事、髪型とユニフォームも完全自由化すればいい。

夏の甲子園でオシャレが全面解禁になればインパクトは絶大だ。日本全国の部活動にも影響が及び、オシャレだからという理由で紫外線対策がないがしろにされるような状況は改まるかもしれない。

子どもの健康が第一なのであれば、オシャレくらい認めてもいいのではないか。自由にオシャレさせることで子どもの個性が伸びるならば一石二鳥だ。

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※日本高等学校野球連盟「高校野球用具の使用制限」(平成22年3月3日)には、
15.サングラスの着用
サングラスを使用する可能性のある時は、試合前(メンバー交換時)に主催者・審判員に申し出て許可を得たものの使用を認めることとする。メガネ枠は黒、紺またはグレーなどとし、メーカー名はメガネ枠の本来の幅以内とする。グラスの眉間部分へのメーカー名もメガネ枠の本来の幅以内とする。また、著しく反射するサングラスの使用は認めない。
と書かれている。

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(ジャーナリスト兼翻訳家 牧野 洋)

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