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家族4人を失った黄川田議員「政府のメッセージ足りなかった」と悔やむ

10月4日、自由報道協会主催の会見で記者からの質問に答える黄川田徹・総務副大臣
10月4日、自由報道協会主催の会見で記者からの質問に答える黄川田徹・総務副大臣 写真一覧
 岩手県陸前高田市選出の衆院議員、黄川田徹(きかわだ・とおる)総務副大臣が10月4日、都内で開かれた自由報道協会主催の会見に登場し、現在の心境を語った。黄川田氏は震災による大津波で市内にあった自宅と事務所が流された。両親と妻の敬子さん(51)、長男の駿一さん(29歳)。それに公設第二秘書の男性の命が失われている。


 身内を亡くした悲しみを乗り越えて、衆議院で東日本大震災復興特別委員会の委員長を務めた後、野田内閣で総務副大臣に就任している。先代の菅政権について、原発事故の対応に追われたせいで「被災地を支えるというメッセージが十分でなかった」と悔しさを覗かせる場面も。同じく岩手県選出の小沢一郎元代表については言葉を選びつつも「力を発揮できていないと思う県民はかなり多い」として、震災復興の前面に立つことを祈るトーンだった。【写真・文:安藤健二(BLOGOS編集部)】

■「教習所に行っていた娘は助かったが……」



自分自身は3月11日の東日本大震災で人生が大きく変わった気がしております。3月11日は午後2時46分の地震でしたけれども、これがもし夜中の2時とか朝方4時でしたら、ここで記者会見はできなかったかもしれません。当日は金曜日だったので、国会議員は地元に戻る日だったので、戻れば家族と一緒ですから。その意味では、ある意味、午後2時46分の震災で生き残った者は汗をかいて次の代を繋いでいくのが使命なのかなと思っております。

実は私が地震が起きた後、うちに電話しました。携帯は繋がらなかったけど、固定電話は繋がったんです。そのときは(以前から予想されていた)宮城県沖地震じゃないかと思ってたんですが、(実際には)1000年に一度の津波だったということでした。自分自身は婿養子なんですが、実家はやはり陸前高田なんですが、明治29年の大津波にあって、ばあちゃん一人が生き残って、何とか代を繋いでいきました。(私の自宅は)陸前高田でも海岸から2キロ以上離れていることから、もう津波にあうことはないだろうと思っていたんですが、親父、お袋、家内、そして長男が……(亡くなりました)。たまたま、娘が学生なもんで、春休みに自動車免許を取りたいということで地元の教習所に行ってましたもので、そこはたまたま高台にあったので生き残ることができたという状態です。

いずれ被災に遭うと、3日間は「生き残って良かった」ということでガマンできるんですが、それを過ぎると「おなかがすいた」「衣類はどうなんだ」「水はどうなんだ」と。一週間もたつと、ガマンしてたんだけど、「風呂に入りたい」と。「大部屋じゃなくて仮設住宅に入りたい」と。いろいろな要望が出てきました。

しかし、原発事故のせいもあったんでしょう。政府の対応をどうやったらいいのかが混乱が災いしたのか、少なくとも国家として被災地をしっかり支えるというメッセージが、きちんと行き届けば復旧復興の進み具合もまた違ってきたと思うんですが……。

阪神淡路大震災のように政令指定都市が復興に向けて立ち上がるのと違って、今回の震災は過疎地や僻地が多いので、復興の進み具合もなかなかゆっくりかもしれない。総務委員会でNHKの予算を審議する際にも、委員会決議をするんですが、私も理事でしたので「時間はかかるだろうけど、復旧復興に向けて地域が立ち上がっていくんだという姿を視聴者の皆様に届けて欲しい」と附帯決議に書き込みました。半分、被災者のワラジを履いて、もう半分は国会議員として何ができるかと考えた結果でした。

岩手の場合は、民有地の活用もできましたので、仮設住宅はお盆前には全部出来上がりまして、市民の皆さん一人一人に入居してもらった後、私も最後に8月13日に仮設住宅に入りました。

一軒、一軒歩くなかでいろいろな課題がありまして。先週も(仮設住宅に)帰りましたら、軒が長くないものですから夏なんかにわか雨が降って、洗濯をしたのにまた濡れちゃったりとか。被災した3月11日も雪が降ってましたけど、また被災地も寒くなってきました。また霜が降りてきて洗濯物も大変になってきました。台風が来たことで仮設住宅にも被害にあったところがあって、アスファルトを引いたり、高齢者の方が出入りしやしすいように手すりをつけたり、いろいろな工夫をしています。

■「小沢氏が力を発揮できていない」と思う岩手県民は多い



 会見場では多種多様な質問が出た。火災が多発しているガレキの処理方法や原発事故に絡んだ質問が多かったが、あえて政局に絡んだ質問をしてみることをした。

 というのは、黄川田氏は元々、自由党出身。民由合併で民主党に移籍した過去を持ち、現在も小沢グループに所属している。同じ岩手県選出の小沢一郎元代表は、10月6日に政治資金規正法違反の公判を控えていることもあり、これまで震災復興で目立った活躍が伝わって来ない。黄川田氏はこの状況をどう感じているのか。直球で聞いてみることにした。

―同じ岩手県選出の議員には小沢一郎元代表がいます。公判を控えていることもあり、これまで震災復興で政治力を発揮できていないように思いますが、黄川田議員はどのようにお考えでしょうか?

地元の議員というよりも、岩手県民としてというか、自分も県政・国政に関わる縁があったのは、「岩手から日本を変えよう」という日本一新の志があったからで。実は県政でも民主党が議長を出してますし、いいか悪いかは議論があるでしょうけど、岩手県には衆参両院でどっちにも自民党の国会議員はいないんですよ。

やっぱり自分達を引っ張ってきたのは小沢先生ですし、そしてまた東北六県で総理大臣を輩出した県は岩手だけなんですよ。東条英機さんを入れると5人も出しているんですよ。原敬さん、斉藤実さん、鈴木善幸さんらが岩手県出身です。「政治が何かを伸ばす」という思いや気持ちが根強くあると思うんですよ。

ですから、小沢先生が足かせがなかったら前面に出てやれるんだろうな、と。逆に言うと、前面に出ると様々なマスコミがね……。思った通りに書いてもらっていいんですが、(どうしても)一方向だけに書かれ方をしてしまいますので。県民からしてみれば、是々非々で小沢一郎論を評価してもらえればいいだけなんですが。いろんなことがあったので、(小沢先生が)存分に持てる力を発揮できていないように思っている岩手県民はかなりいます。

■取材を終えて



 小沢氏を支えたい気持ちはあるが、野田政権の一員としてあまり思い切った発言はできないのだろう。東北人らしい慎重さで、黄川田氏は言葉を選んで発言していたが、「私は小沢先生には(よく)怒られてますからね。この前も怒られたばかりです」と、なぜかうれしそうに苦笑する場面もあった。

 原発事故があった福島の陰に隠れて、宮城・岩手などの大津波にあった地域の復興の模様はマスコミがあまり伝えられなくなっているが、仮設住宅での暮らしの大変さが今回の会見では如実に現れていた。そこに住む黄川田氏だからこその言葉だろう。家族を失いながらも、国会で奮闘する黄川田氏。深刻な状況にも関わらず微笑みを絶やさず、復興への意欲に燃えていた姿が印象的だった。
 

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