- 2017年08月02日 08:57
【読書感想】ネットは基本、クソメディア
2/2いまはネット発の情報がマスメディアを席巻しているともいえる。
たとえばスポーツ紙の電子版に顕著なのだが、とにかく芸能人がブログを更新した直後、あるいはテレビ番組で波及力のある人物が発言をした後に「〇〇がブログで××と主張した」「〇〇が××(番組名)で□□と疑問を呈した」といった形の記事ができる。
恐らく、ひたすらアメブロを始めとした芸能人ブログをチェックする担当者がいるのだろう。社員ではないのかもしれない。とにかく彼らは早いのだ。アメブロの芸能人ブログのトップページでは検索機能がついている。また、新たな更新順にブログを見ることができる。この両方を駆使し、「〇〇がブログで××と主張した」記事を出せるのだ。
検索機能を使い、ひたすら「妊娠」「入籍」「結婚」「離婚」「出産」「誕生」などのキーワードを入れれば最新の「妊娠した芸能人」「結婚した芸能人」などを知ることができる。さすがにこれらの人生の一大事は頻繁には起こらないが、もう一つのテクニックがある。
それは、話題のキーワードを入れることだ。たとえば、お笑い芸人・ガリガリガリクソンが飲酒運転の疑いで逮捕(後に釈放)されたが、この時、アメブロの芸能人ブログのトップの検索欄に「ガリガリガリクソン」という名前を入れれば、彼のことを批判する芸能人のことを発見できるのだ。そして「〇〇が飲酒運転疑惑で逮捕のガリガリガリクソンを批判」という記事が一本完成する。
結局、かつての新聞記者が「足で稼げ」ではなく、「検索で最新情報を集め、他社よりも早く世に送り出せ」といった記事づくりが隆盛を極めているのである。
最近は、その番組がまだ放送されている時間に、「出演者の発言」がネットにニュースとして採りあげられていることもあるのです。
そういう記事が、けっこう人気上位になってもいます。
地道に取材した記事よりも、こういう「有名人のブログやテレビ番組の内容を紹介するだけの記事」のほうが人気になって稼げるとなれば、ラクなほうに流れるのも仕方がない。
でも、こんなのばっかりで良いのか?とは思いますよね。
そもそも、元のブログを読めばいいのに、って話だし。
ただ、今回の新書で、中川さんは、「ネットメディアの問題点」を語りつつも、「ネットの自浄作用」についても言及されています。
「ネットはバカと暇人のもの」だったのだけれど、ここまで一般に普及してくると、ネットを特別な場所として扱うわけにもいかなくなってきたのです。
あるいは、「ほとんどの人間は、バカか暇人」でしかなかった、ということなのか。
今回のキュレーションサイト問題については、DeNAがすべてを引き受けるような形になったが、クソメディアはまだたくさん存在する。その一方、クソメディア駆逐のために良心ある人々の参入も増加しつつあるし、良い記事を量産するメディアに対して、ヤフー等のポータルも優遇するようになっている。
クソでは生き残れない状態になりつつある。ただし、グーグル検索がクソ排除ができるかも重要だ。本書冒頭で紹介した「流行りものパクリ網羅型」はまだまだ猛威を振るっている。
メディアの人間たちによる相互監視の機運も盛り上がり始めている。アメリカでは昔から政治家の発言やニュースについて事実関係を検証するサイトがあるが、日本においてもそれを進めるべく、スマートニュース株式会社の執行委員である藤村厚夫氏らが中心となり、「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)という団体の設立を発表した。2017年6月21日のことだ。
2017年は、ネットメディアの様々なことがリセットされた年になるだろう。人材の流動化も進み、資金も流れている中、「脱・クソ」の良いチャンスである。
WELQについても、ああいうサイトを問題視し、告発する善意の人々がネット内から出てきた、そして、実際にWELQを撤退させることができたというのは、ネットの変化であり、進化でもあると思うのです。
とはいえ、「儲かる」かぎり、悪いことをしようとする連中も、生まれ続けるにちがいありません。
本当の闘いは、まだ、始まったばかり。
いずれにしても、これからの世界では、ネットを排除してしまうことは、もう、できないのだから。

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