大阪朝鮮高級学校(大阪府東大阪市)を高校授業料無償化制度の適用対象から外した国の処分の是非が争われていた訴訟で、大阪地裁(西田裁判長)は、28日、処分は違法だとして取り消し、無償化を命じました。
「教育の機会均等の確保とは無関係な政治的意見に基づいており、裁量権を逸脱している」と認定した、と報じられています。
高校授業料無償化は、2010年4月、民主党政権のもとで施行されました。
大阪朝鮮高級学校も、2010年11月に適用を申請しましたが、結論がでない間に、2012年12月に自民党の第2次安倍政権が発足し、下村文部科学大臣が、「拉致問題の進展がなく、朝鮮総連と密接な関係にある」と述べて、2ヶ月後に朝鮮学校を制度から外しました。
判決は、判断は文部科学大臣の裁量に委ねるべきではなく、裁量を許せば、逆に行政権力による教育への過度な介入の容認につながると懸念を示しています。
各地で訴訟が起こされていますが、7月19日の広島地裁の判決では、学校側が敗訴しています。
判決後、菅官房長官は、控訴の意向をにじませた、とのこと。
大阪地裁の判決は、日本で学ぶすべての生徒に公平に教育の機会を与える、という制度の原点に立った判決、とみられています。
現在、朝鮮学校に通っている生徒は、日本で生まれ育った在日コリアン4世が中心です。
出自に関わらず、多様な人たちに、学ぶ機会を保障すること。
行政の過度な介入を許さず、教育現場の自主性を尊重すること。
そうした考え方が大切だと思います。
このあとも、東京、名古屋、福岡などで判決が予定されていますが、大阪地裁の判決をいかして、速やかに支給をしてほしいと願っています。
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- 2017年08月01日 15:41