- 2017年08月02日 08:20
方向音痴にも優しい『ドラクエ』最新作にあっぱれ~中川淳一郎の今月のあっぱれ
1/2
『ドラゴンクエスト11』が7月29日発売された。「いやぁ、ありがとう、ドラクエ11、ようやく私をドラクエの世界に戻してくれたよ!」。こういった考えを抱いたオッサン・オバサンは全国に多数いたのではないだろうか。
その大きな理由が、ニンテンドー3DSの「2Dモード」の存在である。東洋経済オンラインの「ドラクエXI、異例の『同時発売』に込もる狙い」という記事の分析がドンピシャだろう。今回のPS4、3DS(3Dモードと2Dモードあり)版の同時発売の意図を解説している。
〈ドラクエとともに育った層の中には「ゲームはドラクエしかやらない」「ドラクエのためにゲームハードを買う」という根っからのドラクエファンもいる。彼らが最も求めるのは「ドラクエらしさ」であり、複雑な操作性や美麗な画像ではない。
しかし、ゲームハードの進化に伴い、ゲームの操作は複雑化する一方だ。コントローラーのボタンは増加し、ジョイスティックのようなボタンですらない操作方法が盛り込まれた。微妙な操作が可能になった分、それを使いこなす必要があるゲームが増え、結果的に難しくなってしまっている。〉


中学校1年生だった1986年に「ドラゴンクエスト」が出たが、以来「7」(2000年・PS)まですべてプレイした。2004年、PS2で「8」が登場。その時、メーカーのスクウェア・エニックスに取材をしたのだが、担当者からは「ようやくドラクエでやりたかったことが達成できた」という発言があった。
つまり、PS2という高スペックなハードのお陰で3Dかつ美しいグラフィックが実現し、ムービーもふんだんに入れ、あたかも映画を見ているような感覚を味わえるということである。また、「錬金釜」によるアイテム生成や「モンスタースカウト」といった新システムも導入され、ゲームが複雑化された。
最初の街で挫折した『ドラクエ8』
当然私も「8」は購入したのだがまったくプレイができない。ゲームの最初に登場する街「トラペッタ」でもう諦めてしまったのだ。ドラクエ1でいえば、ラダトームの街、2ならばローレシア城、3ならばアリアハンで諦めたようなものである。370万本も売れたゲームなだけに、当然そこまで難易度が高いゲームではない。では、なぜ私はトラペッタで挫折したのか。
地図が読めない人間にはプレイ困難になっていったゲーム

理由は「方向音痴」にある。何しろ、私は地下鉄の出口を出た瞬間、どちらに行って良いのだか分からず途方にくれてしまう。鬼門は新御茶ノ水、虎ノ門、日本橋、京橋である。これらの駅はもうどちらに行っていいのか分からない。
一回行ったことがある目的地ならば分かるのだが、初めての場所であれば大抵は迷う。スマホを持っていないため、自宅のPCで見た地図を見てそれを頭に覚えて行くのだが、実際に街に出ると180度真逆の方向に行くことが多い。「絶対に間違ってるよな。あぁ、今引き返せば傷は浅くて済むから戻ろうかな。いや、でも、こっちのはずだ……」と思うと大抵は間違えている。
先日、SCOOBIE DOのライブに行くため、JR山手線鶯谷駅から徒歩2分ほどの「東京キネマ倶楽部」に向かったのだが、案の定180度逆へ行き、駅から会場まで45分かかってしまった。
こうしたその方向音痴さはゲームの中でも発揮される。3Dの街の中は、角を一つ曲がったり、緩やかなカーブを伴う道を歩くだけで元いた地点に戻ってしまったりもする。教会や道具屋といった施設にさえ行くことができない。
ただ、街中は安全なため死ぬことはないので、とりあえず時間をかければなんとかなるものの、フィールドに出たりダンジョンに入ったところで道に迷いまくっては戦闘回数だけが無駄に増え、全滅を繰り返すであろうだらけになることは目に見えていた。そうして、1つ目の街から出ることなくドラクエ8は挫折したのだ。
以後、私は当時付き合っていた恋人がプレイするドラクエ8を見るのがもっぱらの楽しみとなった。大きな屋敷の中で時間内に宝箱を大量に開ける、といったイベントもあったが、彼女はそれをやすやすとクリアしていく。これを見た瞬間「これはオレのためのドラクエではないな」という決定打になった。
PS2の時代、3Dゲームが隆盛となった。彼女は方向感覚と反射神経に優れていたため、次々とそれらをプレイし、私は横で見るという時間が3年間ほど続いた。その間に彼女がプレイしたゲームは『グランドセフトオート(GTA)』『龍が如く』『バイオハザード』『三国無双』『ワンダと巨像』『鬼武者』『モンスターハンター』という広大なマップを走り回る名作揃いである。
ただし、私はそれらをできる気はまったくしなかった。地図が表示されるタイプもあったが、地図が固定され、ゲーム内のキャラクターの進む方向に合わせて回転しない場合は、地図が読めないのである。
- 中川 淳一郎
- ネットニュース編集者
一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を請け負う。2001年に退社後、フリーライターとなり、その後『テレビブロス』編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々な、ネットニュースサイトの編集者となる。
著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『凡人のための仕事プレイ事始め』、『ウェブで儲ける人と損する人の法則』、『内定童貞』など。



