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「有権者は本当に馬鹿なのか?」政策的な関心や意向が反映されない横浜市長選から考える

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市川市では、全国で政務活動費が問題になる中、生活費で切手大量購入換金疑惑の議員がトップ当選

こうやって文字にして見ると「こんな事が本当にあるの」と思う人もいるかもしれないが、自治体における地方選挙では似たり寄ったりの事例が意外にあるように感じられる。

先日地元市川市の市議の不祥事についてコラム『中1女子へのわいせつで市川市議逮捕、政務活動費での切手大量購入換金疑惑など不祥事が続く市川市議会…』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20170714-00073277/)を書いた。

このコラムの中でも「政務活動費を清算している際、小泉文人議員から『そんな面倒くさいことをする必要はない。切手を買って換金すればいい。みんなやっている』と言われた」といった証言も紹介したが、市川市ではこの政務活動費切手大量購入換金疑惑の中心と言われている市議がこの問題が指摘されている最中に行われた2015年の市議会議員選挙でトップ当選しているというから、「大丈夫か?」と心配になる。

実際にその市議に投票したという有権者に聞くと、「そんな切手問題があったなんて全く知らなかった。知っていたら投票しなかった」という方が多くいるが、選挙というのは当選してしまえば4年間の任期は安泰になる。その時に評価をしなければ4年間は市民の税金がそこに使われる事になってしまうのだ。

もちろんこの背景には、こうした問題を有権者に浸透しきれなかった問題もある。
その意味では単に「有権者が悪い」というだけの問題ではないようにも思うのだ。
特にこうした「地域課題」については、キー局で情報が伝えられる事もあまりなければ、新聞でも掲載されるのは地方面という事になる。市の広報で伝えられる事も、ホームページで大きく紹介される事もなければ、なかなか市民が情報を知る機会がない事も大きな問題だ。

そのためにも、こうした地域の課題については、選挙の際に限らず、問題を把握する議員たちや、この事を認識した市民たちが、さらに知り合いにと情報を伝えていく必要があるのではないかと思うのだ。

このコラムを読んだ方の知り合いにも市川市民がいれば、是非「大丈夫か?」「知っているか?」と伝えてあげて欲しい。

首長選挙の実績評価は前回の公約とその実現も評価しなければならない

林市長のホームページの政策部分で実績として一番上に書かれているのが「保育所等定員の増加」にいてである。
つまりこの待機児童対策について実績を最も有権者に伝えたかったのだろう。

今回の選挙は別だが、林市長と言って横浜市民以外の外の人たちがまず頭に浮かべるのが、「待機児童ゼロ」という発信だったのではないだろうか。
林市長は選挙公約で「待機児童ゼロ」を掲げて戦い、実際に2013年4月には「待機児童がゼロ」になった事を大々的に発信していた。

実際この対応は大きく評価されるべきものであると思う。
ただ一方で、最近は「待機児童ゼロの横浜市なのに保育園には入れない」と言った批判がされるようになってきた。

2017年4月の最新データでも横浜市の提示する数字では「待機児童2人」となっている。
ゼロではないが、極めて少ない待機児童数であり、人口規模から考えればゼロだと言っていいほどではないかと思う。
しかし一方で、横浜市で保育園に入りたいと申請した「保育所等利用申請者数」65,144人に対して、保育園に実際に入れている「利用児童数」は61,885人であり、保育園に申請しても入れなかった「保留児童数」は3,259人にも上っており、この数は、むしろ全国で最も多い数という事になる。

「待機児童ゼロ」と言ったキャチフレーズでPRされた実績を覚えていて現職の市長に投票したという人にとっては、自分たちが知らない所で、「最も保留児童が多い市にしてしまっている市長に投票」した事にもなってしまっている事になるのだ。

私の住む市川市ではさらに酷く、現職の大久保市長は1期目の8年前の市長選挙でマニフェストのトップに掲げたのが「待機児童ゼロ」だったが、その状況は横浜市以上に酷く、行政が表向きに出している「待機児童数」で全国ワースト3になっているという状況だ。

市川市の待機児童問題については『自治体別待機児童数を厚労省発表。ワーストは世田谷、那覇、市川…3位の市川市は実質1,110人で落第点』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20170417-00069997/)も参考までに。

2つ目に掲げた「小中学校の給食費無料化」は就任直後にできないと撤回する有様。3つ目に掲げた道路交通網の整備についてはその第1に掲げられていたのが「京成線の地下化」だったが、前市長が勧めてきたこの問題も「実現不可能」との結論を出したのも現市長だったりする。

つまり、主要政策のほとんどを実行できなかったわけだが、自民党、公明党、民主党、日本維新の会、社民党、連合千葉が推薦。市民ネットワークが支持をして、実質的な対抗馬と言える候補者が出ず、この大久保市長を2期目も当選させている。

こうした、有権者からすれば、「選択肢すら与えられない選挙」というものも地方選挙には数多くある。
有権者自身が、自分たちの街に関心を持ち、政策課題を共有した上で、将来の街のあるべき姿を描き、それを実行してくれる候補者が誰なのかを考えなければならないのはもちろんだが、政治の側もまた、「現職が選挙に強い」というのはもちろんだが、そうした損得だけではなく、その自治体に住む市民にとってどういう候補者が必要なのかをしっかり考え、受け皿としての選択肢をしっかりと提供していく事も重要なのではないかと思う。

多くの方々が政治不信になっていると言われている中で、政治の責任は大きい。

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