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【新聞チェック】泊原発再開を決めた黒幕は? 別人を挙げる読売と東京

 高橋はるみ・北海道知事は17日午後、定期検査中の北海道電力・泊原発3号機(泊村)の営業運転を容認することを正式表明した。「理解できるものと判断し、異議はない」と述べている。これを受けて原子力安全・保安院は定期検査の終了証を北電に交付、同原発は営業運転に移行した。3月の東京電力福島第一原発事故以降、検査中の原発が営業運転を再開するのは初めて。

 全国にある54基の原発のうち、定期検査や東日本大震災の影響で現在稼動しているのは、泊3号機を含めても、わずか15機。定期検査後に再稼動できなければ、来年春までに全ての原発が停止してしまう。泊原発3号機は震災前の3月7日に原子炉を起動し調整運転を始めた。すでにフル稼働で道内に電力供給しており、「営業再開」となっても実質的には変化がない。4月上旬に営業運転に入るはずだったが、福島第一原発の事故の影響で、約5カ月間と異例の長さの「調整」になっていた。

 原発再開の方針は17日付の朝刊各紙でも、すでに報じられている。泊原発再開の黒幕は誰だったのか。全く別の人物を挙げた読売新聞と東京新聞を比較してみよう。(BLOGOS編集部・安藤)

「枝野氏が首相を説得」と読売



 読売新聞は、泊原発の運転再開に大きな役割を果たしたのは枝野幸男・官房長官だとしている。3面掲載の“「泊再開」首相を説得 官房長官が打開策”の記事には、こう書かれている。
「この問題でつまずいて泊3号機が稼動停止に追い込まれれば、北海道まで電力不足に見舞われる」(経済産業省幹部)との懸念さえ広がる中、枝野官房長官らが「脱原発依存」を掲げる菅首相を説得し、営業運転移行への道筋が開かれた。

菅首相の了承はなかなか得られず、その後もしばらく最終検査に入ることができなかった。枝野長官が打開策として、保安院の検査だけでなく、内閣府原子力安全委員会にも意見を求める「ダブルチェック」の仕組みを編み出し、今月8日、ようやく首相の了承を取り付けた。
 会見で華々しく「脱原発依存」を掲げた以上、実質的には運転再開をしているといえど、そう簡単に泊3号機の再開を認めるわけにはいかない。そこで枝野氏が編み出したのが「原子力安全・保安院と、原子力安全委員会の承認を得るから再開を認めて欲しい」というアイデアだったということのようだ。

北海道電力が「知事と蜜月」と東京



 一方、全く別の見方をするのは東京新聞だ。「こちら特報部」という名物コーナーの中で2ページ見開きで、大きく泊原発の問題を扱っている。まず「泊原発の営業運転容認 結論ありき」という記事の中では「もともと高橋はるみ知事は原発を推進してきた経産省の官僚だった」とした上で、次のように書いている。
高橋知事は当初、原子力・安全保安院が早急に北海道電力に対し最終検査を受けるよう指導したことに対し、「地方軽視だ」と反発した。ただ、海江田万里経産相から釈明の電話があると、一転して柔軟姿勢に転じ、営業運転再開に前向きな姿勢を示した。議会関係者からは「知事の反発はポーズにすぎない。初めから容認するつもりだった」との声が漏れた。
 そして、さらに高橋知事の資金管理団体「萌春会」に、毎年、北海道電力の役員が個人献金しているとを指摘。「知事と蜜月」の見出し付きで、日本共産党の真下紀子・道議の調査結果を公表している。
会長経験者は十万円、会長、社長は五万円、副社長は三万円などと役職に応じた額が決まっており、毎年、ほぼ同じ時期に一斉に献金している。この「萌春会」の会長は、元北電会長で、北海道経済連合会(道経連)の会長も務めた南山英雄氏。真下道議は「形を変えた事実上の企業献金だ」と指摘したが、高橋知事は「それぞれ個人の立場でご支援をいただいている」と述べ、今後も献金を受け入れる意向を示している。

他の原発にも影響はあるのか?



 今回の営業運転再開は、全国各地の原発に与える影響があるのかというと、微妙な情勢だ。読売では、「原発の再稼動を認めるかどうか迷っている地元自治体が、再稼動を容認する追い風になる」という電力関係者の期待感を紹介しつつも、「他の原発の再稼動につながるものではない」と資源エネルギー庁幹部の言葉も挙げている。
 
 玄海原発の説明番組で、九州電力の「やらせメール」が明らかになるなど、電力会社への風当たりが強まるばかり。泊原発の運転再開は、世間に蔓延する「脱原発」のムードを変えることができるのだろうか。

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