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「大本営発表」を続けるマスメディアの大罪

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大本営発表を繰り返す日本人


司会:記者クラブあるかぎり、ダメなんじゃないかという話がありますが。

上杉: 震災直後の東京電力会見、政府会見にしても、情報のソースにアクセスできないという不健全な状態が、鳩山政権発足以降、少しずつ開いてきた記者会見が、また逆行している。取材をするまでのスタートラインに立つまで、こんなに苦労する国は世界中どこにも無いなと。10年くらいフリーをやってまして、その前3年はニューヨークタイムズにいましたが、どこの国に行っても、取材は出来るわけです。アクセス権はありますから。中国だろうがキューバだろうが、北朝鮮もそうですけど。世界中のサミットに行きましたが、日本のサミットだけが、事実上参加できない。日本人なんですけど。非常に不思議な国。いろんな政府の会見も、海外では出られるんですが、日本のは出られない。戦後ずっとこういうことが行われてきた。変えざるを得ない。

その中で、もし3.11以降、ちゃんとこういうものが機能していて、一般の人が多様な言論に触れる機会があったら、少なくとも自由報道協会の面々が発信していることが、新聞やTVに一文字でも、一秒でも載っていれば、もっと違う状況だったかなと。つまり、多くの人が被災するという事も、何らかの形で政府の不作為を止めることが出来たのではないかと、思うと非常に残念です。

例えば、隣に座っている日隅さん、(ジャーナリストの)木野龍逸さんなどが3月半ばから東京電力会見に24時間体制で入って、ロビーで寝泊りして、いろんなことを追求するわけです。格納容器、放射能の漏れ、飯館への飛散・・・文字通り朝から晩まで聞き続けたからこそ、今の工程表も含めて、既存メディアが報じている情報が出てきたんですが、フリーランスが記者会見で追求すると、最初は記者クラブメディアは全部無視します。3週間から3ヶ月後になって初めて、発表すると。これが日本の言論空間の実態です。

これは、ニコニコやUST、IWJの会見ネット生中継を見ている方は、「そうだよな」と納得すると思いますが、「そんなことないだろう」と一般の方は思ってしまう。初めて新聞・TVが扱った日が、発覚した日だと思ってしまうんです。例えば、格納容器のメルトダウンですが、これも、3月の半ばにほとんどが指摘していたんです。海外メディア含めて、フリーランスは。ところが、やっと政府が認めて、それに基づいて発表ジャーナリズムに乗っかったのが、5月、6月ですよね。

これまでの平時は良かったんです。「情報遅かったね」で済んだのですが、今回は放射能事故という事で、1秒、1分の遅れで大きな違いが出るところが、数週間、数ヶ月遅れたために、残念ながら多くの方が被曝をし、今後の健康被害を防ぐことが出来なかったのは、既存メディアの存在だけではなく、こういう社会を作ってきた大人たち全体の責任。官僚もそうですし、記者クラブ制度と言うものを結果崩せなった私たちフリーも含めて、日本国民の健康を害した犯罪行為。この部分を反省して、先に進むしかないと思います。

先ほど日隅さんが「このチャンスしかない」と言いましたが、70年前に私たち日本人は同じことをやったわけですよね。大本営発表で、勝ってもいない南洋での戦争を「勝った勝った、転進だ」と、ミッドウェーでやり、ガダルカナルが落ちても、大丈夫だと。沖縄が落ちても、「いよいよ本土決戦だ」と言って、広島、長崎を始め、犠牲にならなくてもいい、240万人以上の人が亡くなった。その大本営の発表を、70年後にまたやっているのかと、津波を含め、数万人の人が犠牲になりました。そういう意味では、この時に記者クラブというものを完全になくして、そして70年後の日本人が同じ事で苦しまないようにするのが、私たちの責務ではないかなと。

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