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- 2011年08月17日 07:00
「大本営発表」を続けるマスメディアの大罪
3/7海外からの情報を集める
森広:今のお話を受けて、原発事故だけではなく、いろいろ大事な問題が国内外で起きていて、それを既存メディアがなぜ本当の事を伝えないのか、この問題はずっと存在しています。その代案として、オルタナティブ(代替)と我々は呼んでいますが、既存のメディアの人間とフリーランサー、ジャーナリズムのあり方に疑問を持っている人たちと毎月勉強会を持っています。今回の震災事故で一番痛感したのは、一種の空白状態というか、既存メディアが発表原稿だけを待って集まっている事。そこに上杉さん始め、フリーの方々が乗り込んで質問するという場面が流れた。そこには矛盾があって、既存メディアは資金と人がいながら、調査報道が出てこない。
我々がまず何をやったかというと、海外が福島の事故をどう見ているか(調査した)、GEの技術者達が「あの原発は当時我々が作ったんだ」というのが目に入ってきて、3月18日にはそれがまとめられて入ってきた。それを翻訳して載せた。GEの技術者達がどう言っているのか、海外の専門記者、フリーランサーがどう言っているのか、キャッチして、必要なものは翻訳して、会報に解説をつけて載せました。現状との間にどんなギャップがあって、日本のメディアはなぜ伝えないのかと問題提起しました。それをネット上に公開して大きな議論を起こすという方法もあったんですが、アジア記者クラブの内部ネットでの議論にとどめながらやってきました。
どうして、堂々とウソがつかれて、情報操作が行われて、それにメディアが加担して、それに対する反省や批判が出てこないのか。それが変えられない。指摘はされても現状は変えられない。この空白状態はなんなのか。既存メディアが崩壊していく中で、それに対抗するオルタナティブなものが作れるのか。アジア記者クラブはフリーランサーを育成する講座を持っていますが、とても回数が足りない。日本でメディアセンター的なものは必要だろうと。対抗する記者たちがどう書けるようになるか、フリーで食べられるのか、どこに書くのか、影響力はあるのか、今の社会は変えられるのか。その現実が10年変わっていない。ネットメディア、市民メディアがやってきたが、今回の事故でも変える力は持ち得なかった。その空白状態が大きな課題ではないかと。
記者クラブ解体、最後のチャンス
上杉:自由報道協会があった、なかったで大違いだったなと思ったのは、少なくともこれまでのメディアが作ってきた言論空間というのは一元化されすぎていた。そこに小さな風穴を開けたことが大きかったかなと。それにより情報の流れが少しだけ変わって、自由報道協会は非営利団体の場を提供する団体ですが、それぞれのメンバーが情報に触れる方々に、真実を提供できたかなと。それができて良かったですね。
福島の人の中には、原発事故直後に既存メディアが「安心デマ」「安全デマ」というのを流している所、、それとは違うことを言う人たちがいるなと、インチキくさい人が多いけど、そこに耳を傾けたことによって対応した人が少なくても何千人かいる。それは3月11日日以降、事務局に多くの激励と、あって良かったと言うありがとうのメールやイベントをやると「ありがとう」と言われてわかる。でも私は何もやっていない。メンバー達が現場に行ってやっているんで、その人たちの力が震災報道において大きかったと。
10年ほど前から記者クラブ問題というものに気が付いて、特にニューヨークタイムズ時代にこの問題に突き当たって、これはひどいなと。衆議院議員の秘書をやっていた15年くらい前は、記者クラブ問題は非常に便利だなと利用させてもらっていたんですが(笑)終わってからはなんてひどいんだろと、半ば解放運動に入っていったわけですが、最初はこっそりと、既存メディアにいながら、お金はもらって、裏でチクチクと悪口を言っているという感じだったのですが、7〜8年前に本に書いたり講演なんかで話していた当時は全く反響も無かったわけです。
こちらのほうも、記者クラブは別にあってもいいんじゃないかというスタンスでした。所詮あっても機能不全をきたしているだけで、情報の流れ、真実の報道に悪さはしないだろうと、邪魔なだけだなという形だったのですが、3月11日以降は、まったく考えが変わりまして、機能不全どころか、逆機能を起こしていると、本来知らせる情報を、妨害しているのが記者クラブだという認識に変わって、ここ数ヶ月は、これはなんとか変えなくてはいけない。日隅さんも言ったように、これが最後のチャンスかなと思うようになったのです。
それに、自由報道協会という場があるので、これまでは記者クラブを潰してもその後どうすればいいのか分からないというのがあったのですが、このように場を提供することによって、多様性のある情報というのは、流れるには流れるんだなと。自由報道協会も、参加メディアが左は週刊金曜日から右はチャンネル桜までいて、多様性が確保されている。そんなシステムが日本でも作れる事がわかったので、(記者クラブは)潰してもいいんじゃないかと。




