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- 2011年08月17日 07:00
「大本営発表」を続けるマスメディアの大罪
2/7海外にだけ放射能情報を提供する気象庁
日隅:今になって、「安全だ安全だ」と言っていたことが、安全じゃなかったことが明らかになって、マスメディアに対する不信感を持ったと思うんですが、評価ではなく、事実すら伝えなかった、という事です。最初に放射線量が公表されたのは、文部科学省が、各地自治体の集めている数値を集めて発表しました。データを集めているという情報が出たので、私はすぐ文部科学省に電話して、集めたデータは公表するんですかと訪ねた。「すぐ出します」と言っていたが、出てきたのは2日後で、一番重要な14日の3号機爆発直後のデータは出てこなかった。
気象庁は3月11日直後から、放射線物質がどう拡散するかをスーパーコンピューターで計算して、各国にデータを出していた。各国はそのデータで拡散地図を作って、ネットにアップしていた。しかし、日本国民には知らされなかった。
そういう状況の中で、市民が求めているのは、そのデータだったんです。拡散予測もそうですが、各地がどうなっているのか。調べて伝えることが出来たんです。でも、それをやらなかった。そういうメディアだということをきちんと確認した上で、これから新聞をどうするかという事です。
気づいた以上は、それを変えなければいけない。どうすれば変わるのか、考えなければいけない。この機を逃せば、何十年にわたって、変化の機会は来ないと思います。民主主義が日本に根付くかどうか、決定的なチャンスなんです。チャンスという言い方は、被害に遭われた方に大変申し訳ないのですが、これを逃してはいけないと思うんです。
一つは、行動を取って欲しいということです。変えたい人にどう伝えるのか、どう動かすのかを考えなければいけないのです。
メディアの保守化・官僚化
高田:6月末で北海道新聞を退社しました。25年ちょっと勤めました。自由の身になって1ヶ月程度、毎日楽しいです(笑)
実は、負い目みたいなものがありまして、震災後、現地取材に直接タッチしてません。スポーツ担当デスクをやっていたので、直接取材をしていないことが個人としては後ろめたい。なぜメディアが事実を伝えないのか、本当の事を言わないのかと批判が高まっている。ちょっと違うなと思う事もありますが、大きな流れとしてはまさにその通りだと思います。
それはなぜか、簡単に言えば、組織が保守化、官僚化してしてしまっている。日々の現場で何が起きるかというと、前例踏襲、お役所仕事ってやつですね。新しいことをしない、個人が責任を負わない。それがメディアの組織の中で起きている。組織が古びてしまっている。個人の能力には差がありますが、組織相対として、能力の高い人が力を発揮できなくなってしまっている。AさんがいなくてもBさんがいなくてもCさんがいなくても、新聞は出ちゃう。組織として、そういうシステムが出来上がっているんです。本来、原発事故なんかが起きれば、かつてと同じやり方では捕えきれない。もっと記者を自由にさせなければいけないのに、それをしない。前と同じ流れで取材をする。だから現実に対応しきれない。
これからメディアをどうするか考えると、なんだかんだいっても日本のメディアは巨大なんです。記者の数で考えれば分かります。おそらく朝日、読売で記者は2000人前後。共同通信でも1000数百人。日刊紙の記者を全部集めれば2万人〜3万人単位でいるのではないか。それに対していくらフリー、雑誌の記者が頑張って、正規軍の巨大な組織にてんでバラバラで対抗してもらちが開かないのだと思います。だから、巨大メディアをどう変えるのか。でも組織は保守化、官僚化されていますから、トップが決断して、組織を大きく変えるしかない。それが期待出来ないのであれば、別のものを作らなくてはならない。それは、個々人の優秀なフリーの人かは別にして、一定程度の取材スキルを持った人が組織的に動ける仕組みを作らなくてはいけない。おそらく、巨大な既存メディアと対抗するには数十人から百人程度の記者は必要なのかと。




