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「がん離婚」を避けるために必要なひと言

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小林麻央さんの死去と市川海老蔵さんの記者会見。6年間、妻のがん闘病をサポートしている筆者は、会見をみて「夫婦愛の深さに感動した」という。がんは夫婦の距離を近付けるとは限らない。心の余裕を奪い、「がん離婚」を引き起こすこともある。がんに負けない夫婦愛を深めるには、どうすればいいのか――。

心残りが大きいほど、子どもへの愛は深い

小林麻央さんが亡くなられたのを知ったとき、ご冥福を祈りながら、麻央さんは普通の人の一生分の幸せを得て、旅立つことができたのかな? そうであってほしいな、と思いました。おかしな反応と思う人もいるでしょうが、これは私の妻が乳がん転移の肝臓がんで闘病しており、主治医から「治る見込みはない」といわれているからかもしれません。そのため、つらい闘病生活を送っている妻には、毎日少しでもいいから幸せを重ねていってほしい、と願ってサポートしているのです。

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連載「ドキュメント 妻ががんになったら」が書籍化されました!『娘はまだ6歳、妻が乳がんになった』(プレジデント社刊)

ただ、十分すぎる幸せを得たとしても、子どもが未成年の場合、心残りはあるはずです。とても死を受け入れることはできないでしょう。それは闘病者本人だけでなく、そのパートナーにとってもそうです。私の娘は今12歳ですが、近い将来、妻が旅立つことがあれば、思春期の娘をどうやってサポートし、育てていけばいいのか途方に暮れるに違いありません。海老蔵さんと麻央さんの場合、まだお子さんは小さいので、まさに身を引き裂かれる思いのお別れです。

海老蔵さんは、麻央さんが亡くなられた翌日の会見で、「5歳と4歳ですから、これから『お母さん』という存在は彼女や彼には、非常に重要な存在なわけではないですか。それをやはり、失った。僕は代わりにはなれないですけど、できるかぎりのことをやっていくように思っていますね」と話しているとおり、試行錯誤しながらも、パパとしてできる限りのことをするのはもちろん、ときにはママの役割も果たさなければなりません。

麻央さんのママとしての心残りの大きさは、想像を絶するほどだったと思います。このことは海老蔵さんが「心残りだと思います。2人のことについて、『どうすればいいんだろう』って考えても、答えが出なかったものだと思います。(中略)心配で心配でしょうがないんじゃないでしょうか」と話しているのと、「海老蔵さんが託されたことはありますか」という質問に対して「ちょっと多すぎて言葉に出せないですよね」と答えているところからも想像できます。

ただ、心残りが大きいほど、子どもへの愛は深い、といっていいのではないかと思います。苦しい闘病を続けていると、自分のことだけで精一杯になることがよくあるからです。これはサポートする側にもいえることです。自分の置かれている状況がとにかく不条理に思えて恨めしく、ほかのことを考えられなくなってしまうのです。

海老蔵さんは会見で、「麻央のほうが大変なのに、自分よりも相手のことを心配する優しさ。(中略)どこまでも自分よりも、相手のことを思う気持ち、これはいちばん多かったですね」と話していました。麻央さんの精神的な強さ、素晴らしさを感じることができます。麻央さんのお子さんへの愛は最期のときを迎えるまで、少しも色あせることはなかったはずです。

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