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防衛大臣に無断で資料を隠蔽したとされた自衛隊

稲田防衛大臣が辞任した。
このこと自体は、彼女の数々の問題からして当然の帰結で喜ばしいことでさえあるが、その辞任の契機となったいわゆる日報隠蔽問題と特別防衛監察の結果については危惧すべき点がある。

防衛大臣が辞任の際に述べた言葉は、報道が引用しているところでは次のとおりである。

以下 NHK特別防衛監察「公開請求に対し違反行為」

「特別防衛監察の結果によれば、日報データの存在は事務次官まで報告されたものの管理状況が不明確であるため、私には報告する必要はない旨の判断が示されたとされております」
「報道においては、私自身に日報が陸自に存在するとの報告がなされ、それを非公表とすることを私が了承したというものがありました。私自身、そのような事実はないと否定してきましたが、特別防衛監察においては、日報データの存在について、何らかの発言があった可能性は否定できないものの、書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。また、私により、公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかったと認定されております」

前段は、管理状況が不明確ということがどうして大臣への報告を不要とする理由になるのかが明確ではない。が、ともかく、大臣のコントロールの及ばないところで、自衛隊の海外における任務の詳細な報告データが隠蔽され、データが明らかになってもなお大臣は蚊帳の外に置かれたということのようである。

これはシビリアンコントロールという意味では、全く破局的な出来事である。シビリアンコントロールは背広組の制服組に対する優位という意味ではなく、民主的な選出過程を経た政治家が軍隊組織をコントロールするということなのであり、少なくとも政務三役のレベルには包み隠さず情報を上げることが必要だ。些末な出来事ならともかく、海外の自衛隊の行動に関する基礎資料の存否は瑣末なことではない。

しかし、これまでの報道では、大臣にもちゃんと報告をし、大臣自身が隠蔽したか、少なくともそれを容認したと報じられていた。これならシビリアンコントロールの仕組みとしては問題はない。問題は、重要な情報を官僚組織と一緒になって隠蔽してしまう大臣の問題だ。

この点について後段の発言となる。
「特別防衛監察においては、日報データの存在について、何らかの発言があった可能性は否定できない」
「書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった」
「私により、公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった」

彼女の言葉をそのまま報じているという前提でいうなら、巧妙に、疑惑は否定されたとの印象を醸し出しているが、その実、大臣に日報データの存在を口頭で報告したことは否定されず、また大臣が公表の是非について裁断を下したのではなくても方針決定を黙認したことも否定されていない。

巷間伝えられているように、日報データの存在を聞かされて「明日なんていえばいいの」と嘆き節だったという稲田大臣の対応は、否定されていないわけだ。

あとは、部下が、部下が、と言って逃げられるようになっている。

シビリアンコントロールの危機であるか、または大臣がみっともない嘘をつき続けているのか、いずれにしても日本国民としては不幸な状態である。

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