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社会に新しい技術が浸透していくとそれに伴う諸問題も発生する。通信は万人に使われるインフラだからきちんとした法整備が必要 - 「賢人論。」第43回クロサカタツヤ氏(後編)

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みんなの介護

中編「ヨーロッパ諸国が本格的にロボット技術の法整備に乗り出した今、日本も早急に議論を進めていく必要に迫られてきている」で介護ロボットの導入が介護業界の直近の課題であることを説いた、IT分野に詳しい経営コンサルタント・クロサカタツヤ氏。最終回となる後編では、インターネットや電話を取り締まる法律の概要とそれを巡って交わされる議論について知見を述べた。

取材・文/佐藤 舜(編集部) 撮影/公家勇人

電話やインターネットはいろいろな法律によって厳しく基準が定められている

クロサカ ITはその領域を広げつつあります。インターネットは現在、ずっと身近な存在になりましたね。するとそれに伴い、いろんな新しい問題にぶつかってしまうことにもなります。

みんなの介護 具体的には、どのような問題があるのでしょうか?

クロサカ 身近な例のひとつとしては、青少年保護問題があります。要は、SNSの普及によって未成年者が売春・買春行為に巻き込まれやすくなり、ひどいときには誘拐事件にまで発展するケースも出てくる。その他、SNSによるいじめ問題も深刻ですよね。インターネットは犯罪行為をやりやすくし、発覚しにくくするという特徴をもっているので、放置しておくわけにはいかないのではないか。

しかしもう一方では、インターネットは社会問題の本質的な原因ではなくただのツールにすぎない、だから自由に使うべきだ、という意見もあります。そんな風に常に議論が交わされながら、私たちの社会が合意できるところを探っているわけです。

みんなの介護 誰もが手軽に使えるツールだからこそ、きちんとしたルールづくりをしておく必要があるのですね。

みんなの介護

通信事業は法律と切っても切れない関係を持っている

クロサカ 我々が一番身近に感じるインフラが「電気」「ガス」「水道」だとすれば、「通信」はその次くらいにはくるでしょうね。あるいは日常生活ではもっと重要に感じるかもしれない。

その通信はインターネットや電話が中心ですが、これらは基本的に「電気通信事業法」によって取り締まられていて、この法律が通信産業の構造を法的に裏付けている。平たく言えば「こういう具合に仕事をしましょうね」という、事業の定義付けをしているんです。そういう意味では介護や医療と似ているかもしれませんね。

ですから通信は法律と切っても切れない関係をもっており「この法律の使い勝手が悪い」だとか「この法律は利用者の利益にならない」「この状況だと適切な自由競争が機能しない」など、状況の変化に応じて法律を常に見直す仕事が必要になってくるんです。

みんなの介護 「電気通信事業法」にはどのような内容が盛り込まれているのですか?

クロサカ 例えば「うちに電話を引いてください」という依頼があったら、事業者はそれを応諾しなければならないと定められていたり、それから「110番や119番がつながるようにしなければいけない」という決まりごとも、細かいですが重要ですよね。

そこでひとつの問題になるのは、電話を引いて欲しいという利用者の要望に対して、事業者がどこまで応じるべきかということです。彼ら事業者だって民間でやっていますから、できることの範囲には限界がある。離島や過疎地にはどこまで対応するのか。富士山頂なら人出が多いから電話を引いてもいいかもしれないけれど、年間に数人しか登らないような山はどうするのか。そういった個々の状況にどこまで事業者は対応すべきなのか? 考えていかなくてはいけませんよね。

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