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- 2011年06月08日 12:23
【新聞チェック】ポスト菅への布石か?細野氏がまとめた原発事故報告書が意欲的な内容
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政府の原子力災害対策本部は7日、福島第一原発の事故報告書を取りまとめて、国際原子力機関(IAEA)に報告した。20日からウィーンで開かれるIAEA閣僚級会合で議論される。津波への対策が不十分で、メルトダウンを引き起こしたことを反省する内容で、放射性物質が大量放出されたことを、「世界の人々に不安を与えたことをお詫びする」と陳謝。28項目にわたる安全強化策を打ち出している。この報告書を取りまとめたのは、細野豪志・首相補佐官。菅首相の退陣時期をめぐって与野党で駆け引きが繰り広げられる中、ポスト菅に向けて大きなアピールになった格好だ。
細野氏は同日の記者会見で「同じ間違いを繰り返してはならないという思いと、事故の教訓を世界中で共有して欲しいという思いで書き上げた」と述べて、自信をのぞかせた。8日の朝刊では、主要4紙の一面トップが、この報告書の話題。約750ページにも渡る長大なレポートということもあり、各紙で切り口が異なる興味深い結果になった。以下、東京版の1面トップの大見出しを見ていこう。
朝日新聞は、もっとも大きな活字で「不備認める」と書き、「保安院の独立、明記」は小さめだった。原発事故への対策の不備を政府が認めたことを、重点的に取り上げている。
などと、報告書の内容を紹介している。
東京新聞は朝日とは逆に「保安院独立を明記」の見出しが最大。原発規制のあり方が組織面で変わることをクローズアップしている。
産経新聞は、他紙が原発対策などを強調したのに比べると、センセーショナルな内容だ。原子炉が「メルトスルー」という、メルトダウン(炉心溶融)よりも危機的な状態になった可能性に触れたことをトップに持ってきた。
6月1日、IAEAの報告書を受け取る細野豪志・首相補佐官(AP/アフロ)
政府の原子力災害対策本部は7日、福島第一原発の事故報告書を取りまとめて、国際原子力機関(IAEA)に報告した。20日からウィーンで開かれるIAEA閣僚級会合で議論される。津波への対策が不十分で、メルトダウンを引き起こしたことを反省する内容で、放射性物質が大量放出されたことを、「世界の人々に不安を与えたことをお詫びする」と陳謝。28項目にわたる安全強化策を打ち出している。この報告書を取りまとめたのは、細野豪志・首相補佐官。菅首相の退陣時期をめぐって与野党で駆け引きが繰り広げられる中、ポスト菅に向けて大きなアピールになった格好だ。
細野氏は同日の記者会見で「同じ間違いを繰り返してはならないという思いと、事故の教訓を世界中で共有して欲しいという思いで書き上げた」と述べて、自信をのぞかせた。8日の朝刊では、主要4紙の一面トップが、この報告書の話題。約750ページにも渡る長大なレポートということもあり、各紙で切り口が異なる興味深い結果になった。以下、東京版の1面トップの大見出しを見ていこう。
政府、原発不備認める(朝日)
朝日新聞は、もっとも大きな活字で「不備認める」と書き、「保安院の独立、明記」は小さめだった。原発事故への対策の不備を政府が認めたことを、重点的に取り上げている。
報告書によると、津波への対策が不十分だったため、原子炉を冷却するための電源を確保できず、炉心溶融に至ったとした。溶けた燃料の一部について、原子炉圧力容器の底が損傷して「(格納容器の底に)落下して堆積している可能性も考えられる」と認めた。
電源がすぐに復旧できなかったのは過酷事故への対策が不十分だったためで、ベント(排気)も十分機能せず、原子炉建屋が水素爆発するような事故を想定していなかった、とした。
などと、報告書の内容を紹介している。
保安院独立を明記(東京)
東京新聞は朝日とは逆に「保安院独立を明記」の見出しが最大。原発規制のあり方が組織面で変わることをクローズアップしている。
原発の規制当局である経済産業省原子力安全・保安院を、推進する立場の経産省から独立させる方針を明記した。
今回の事故では、保安院や原子力安全委員会、文部科学省など関係機関が分かれているために責任が不明確になり、「力を結集して俊敏に対応する上で問題があった」と認識。保安院を独立させた後、原発の規制や環境モニタリングの実施体制を総合的に見直す。原発を推進する立場と規制する立場を同じ経済産業省が受け持っているという矛盾が、これで解消されることに期待する内容となっている。
核燃料 溶融貫通か(産経)
産経新聞は、他紙が原発対策などを強調したのに比べると、センセーショナルな内容だ。原子炉が「メルトスルー」という、メルトダウン(炉心溶融)よりも危機的な状態になった可能性に触れたことをトップに持ってきた。
1〜3号機で燃料が原子炉圧力容器の底に溶け落ち、一部は容器に開いた穴から外側の格納容器に落下して堆積する「溶融貫通(メルトスルー)」が起きた可能性も考えられるとしている用語解説では、メルトスルーの意味を次のように説明。「最悪の状態」とまで言い切っている。
溶融貫通 炉心が損傷し、燃料の形状が維持されず溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)が起きると、原子炉圧力容器の底に燃料がたまる。この溶け落ちた燃料の固まりが、圧力容器の底や、さらに外側の格納容器の底を溶かして突き破ってしまう最悪の状態。



