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「被災地のメディアだからこそできることがある」河北新報社・佐藤和文メディア局長インタビュー

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「自分達の地域が大変なことになった」という意識


―河北新報社では、震災時はどのように取材されていたんでしょうか?
佐藤:今回の震災の場合は、まず電気・インターネットが停まってましたから、記者が取材に行っても現地から記事を送れないんです。ネット社会ではあり得ないことが起きたわけです。

 それが福島、宮城、岩手、青森と広大な地域で起きたわけです。我々の支局も販売店も流されて、亡くなった方もいますし。そういう中で、本社や総局を拠点に取材活動をするんですが、仙台の本社から毎朝何時にバスを出すということで、本社から記者を乗っけて目的地まで行って、夕方に迎えに行って、夜に本社で原稿を出すということをやっていました。そういう活動を1〜2カ月続けてやるわけですよね。彼らは私同様、仙台市内に住まいがあるので、ある意味、被災者なんですね。身の危険を冒して仕事をしているわけです。
 
 私も新聞社の中でネットやっているので、ネット社会の中でメディアに対してどんな風に批判られているのかをよく知っています。「ジャーナリズムなんか、別に新聞社じゃなくてもできるんだ。個人でもできるんだ」と。それは私もそう思いますが、今回の震災のように非常にシビアな状況になったとき、「取材者として向き合うパワーが私達の社会のどこにあるのか?」と考えてしまうんです。すると、新聞批判はいろいろありますが、やはり新聞社の役割はあると思っています。弊社の場合は、百年間も東北地方に向き合って仕事をしてきているわけで、「自分達の地域が大変なことになった」という意識があるんですよ。だからこそ、毎日、記者が泥だらけになって現場を歩くわけです。こういうことを日本のジャーナリズムでやれる集団って、他にはそんなにはないだろうな、と思っています。

よーいドン!では面白くない



 佐藤氏の言葉には静かな自信が感じられた。地域に根ざした地方紙ならではの矜持があるのだろう。被災地には、全国からマスメディアの記者やレポーターが殺到したが、来て数日で帰ってしまう媒体も多く、本当に深い部分まで報道できているか疑問に感じているという。
 
 現在、米国では地元超密着型のメディア「ハイパーローカル・ジャーナリズム」に注目が集まっている。新聞不振の一方で、地域情報を扱うオンラインニュースが急成長しているからだ。河北新報社のネット事業への取り組みは、先駆的だと言えるだろう。最後に「新聞メディアから、ネットメディアへのアドバイスは?」と問われると、次のように答えた。
 
「小さな会社であっても、それぞれの規模や環境の範疇で出来ることがあると思います。同じことをよーいドンでやるのは、社会的には全く面白くないし、早い者勝ちになってしまいます。もっと連携プレイがしたいですね。私達のような地方紙が、もっとネットメディアと繋がりながら新しい物を作っていければ、より多くの人々が巻き込むことができますし、それこそがネットの醍醐味ですよね」

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